君だけの守護者(おまもり)
こんばんは (*´-`*)

少し前にSNSでアップさせて頂きましたBDリクの転載です。

リクが夫婦のイチャイチャと言う事でしたので、本物夫婦設定です(*゚▽゚)ノ
色々捏造してます。何でも大丈夫な方はどうぞm(__)m



 王都より北東にある翠州――
 夜の開けきらない薄明かりの中、一組の夫婦が馬に乗り丘を上っていた。未だ人気も無い時間に仲睦まじく進む姿は微笑ましい。

「本当によかったんですか? 二人だけで出て来ましたけど」
「ああ、李順には許可を取って来ているから心配することは無い」
「なら良いですけど……あ、凄いキレーですね」

 丘の上にたどり着いた二人は馬から降り立ち、そこからの景色を眺め感嘆の声を上げた。
 海面からゆっくりと太陽が顔を出し、赤々とした朝日が水面を染めていく。

「こうしてると蓉州のお忍び視察を思い出しますね」
「それは懐かしい。もう随分前の事に感じるな」

 笑顔で振り向く女に男は微笑み答えた。

「やはり来てよかった。君が笑うと私も嬉しい」
「私はいつも笑ってますよ?」
「笑ってはいるが王宮と今では笑顔が違う。やはり夕鈴は下町の方がよかった……」

 夕鈴はそっと手で男の口を塞ぎ、にっこりと笑う。

「何言ってるんですか? 陛下、私は自分の意思で一緒に居るんですから」

 陛下と呼ばれた男は無言で夕鈴をギュッと抱き寄せ、口付けた。そのまま草の上にそっと押し倒すと、夕鈴は振りほどき抗議の声を上げる。

「もう、だめですよ。こんなところで」
「我が妃が可愛すぎるのが悪いと思うのだが?」

 転がったまま抱きしめられた夕鈴は、頬を染め陛下を見つめる。

「あと少しだけこのままで」

 無言で頷くと目を閉じた――


「海も空の色が映ったように青くて凄く綺麗……」
「ああ、まさに目の覚めるような青だな。だが君のほうが綺麗だよ」

 下町に下りてきた二人は馬を返してから少し足を伸ばし、海を眺めていた。船が行き交い、時折魚が跳ねる。

「この景色見てたら飽きませんね」
「君は夫が隣にいるというのに海に目を奪われるのか。その瞳に映すのは私だけでいいのだが」

 陛下は顎に指をかけ自分に視線を向かせる。夕鈴は頬を染め、視線をそらしその手を振りほどいた。

「何でそうなるんですか! それより町に戻りませんか? 私お腹空いちゃいました」
「そうだな。では町の方に戻ってみるか」

 いつまでも初々しい夕鈴に笑みを漏らし、手を握ると二人は仲良く歩き出した。


 飲食店に入り注文を済ませ、暫くすると何品かの料理が運ばれて来た。

「この蓮蓉包美味しいですよ! 李翔さんも食べてみて下さい」

 夕鈴は出てきた包子を手に持ち一口食べ、満面の笑みで李翔に勧めると「どうやったらこんなに美味しくなるのかしら?」と呟き、じっと蓮蓉包を見つめ小首をかしげる。

「夕鈴がそんなに喜ぶほど美味しいのか」

 包子に集中している夕鈴の手を持ち食べかけの物を食べると、夕鈴は驚いた表情からみるみる内に顔を真っ赤に染め、口をパクパクと動かしていた。

「うん、美味いな」
「もう李翔さんったら、人前でやめてください」
「夫婦なんだからこのくらいよかろう?」

 ニヤリと笑う李翔に抗議するが、気にする様子もない。夕鈴は諦めて食事を楽しむことにした。


「お腹いっぱいになりましたね」
「美味いものも食べた事だし、買い物に行こうか」

 下町の喧騒の中を二人で歩いていると、李翔がある店の前で足を止める。

「この町は玉が有名だから見て行こうか」

 店内は緑、ピンク、薄紫とさまざまな色の玉が並び珠の物もあれば髪飾り等に加工された物などが置いてあった。

「どれも綺麗ですね」
「玉はお守りにもなるから、好きなものを選ぶといい」
「こんな高価なものは必要ありません。それに私には母さんの形見がありますから」

 最後に下町を離れる時、父が昔母に送った玉の裸石を夕鈴に形見として贈っていた。それを夕鈴は丁寧に巾に包み、いつもお守り変わりに持ち歩いていた。
 そっと懐に手をやり玉を握ろうとすると、そこにあるはずの物が無い。

「無い! 無いわ……どうしよう落としたのかしら」
「夕鈴落ち着いて、ここで慌てていても見つからない」

 夕鈴は青い顔でわたわたと慌て始め、李翔の言葉も耳に入っていない。動揺した夕鈴を李翔はギュッと抱きしめ、優しく囁き背中を撫で続けた。
 暫くして漸く落ち着いた夕鈴を連れ、今日通った道や店を回るが中々見つからない。

「ここにも無いか……」

 海辺もくまなく探すがそれらしき物は落ちていない。

「誰かに拾われたんでしょうか」
「まだ丘の方は行っていない。そこまで行ってみようか」

 がっくりと肩を落とす夕鈴を励まし、馬を借りると丘に向かって駆け抜ける。

「早くしないと探せなくなる。飛ばすから舌を噛まないようにしっかり捕まってて」

 激しく揺れる馬上で夕鈴は馬の首に必死にしがみつき、着いた頃にはふらふらになっていた。

「夕鈴は休んでいればいい。私が探してくる」
「私も探します」

 そう言うと夕鈴はおぼつかない足取りで探し回り、李翔も辺りを見回す。

「本当にどこにいったのかしら」

 いくら探しても見つからず、泣きそうになった夕鈴は天を仰ぐ。すると少し離れた木の上にある巣から、布が覗いている事に気が付いた。
 その巾は形見を包んでいた物の様に見え、慌てて李翔に声をかける。

「李翔さんっ! あの木の上!」

 突然呼ばれ夕鈴に視線を向けると、一本の木を指差す夕鈴がいた。その木をよく見ると巣から布が覗いているのがうかがえる。

「取ってくるから夕鈴はそこで待ってて」

 李翔は木に登り巣を覗き込むと、巾に包まれた物が入っていた。何度か夕鈴が大切そうに触れていたのを思い出し、同じものと確認するとそっと巣から取り出し大事に懐に仕舞い木から下りる。

「夕鈴あったよ」
「ありがとうございます! よかった」
「何であんな所にあったのか分からないが、おかげで人に拾われることもなく無事取り戻せてよかった」

 李翔は泣きながら喜ぶ夕鈴を抱き上げ、馬に乗せる。

「そろそろ時間が無い。飛ばすからしっかりつかまっていて」

 再び激しく揺さぶられ、夕鈴は宿に戻った頃には立つ事が出来なくなっていた。


「夕鈴。もう無くさなくて済むよう、身につけられるものに加工しようと思う。その玉を預からせてもらってもいい?」
「はい……ごめんなさい。久々に二人でお出かけだったのに」

 帰りの馬車の中落ち込む夕鈴は、陛下からの提案を素直に受け入れた。


 視察から戻ると、仕事も溜まっており毎日が慌しく過ぎて行く。
 気付けばあれから一週間が経っていた。

「おかえりなさいませ」
「ただいま夕鈴。やっと出来上がったよ。開けてみて」

 夕鈴は陛下を出迎えると箱を手渡された。開けてみると、白い玉で作られた花の中心に緑の玉があしらわれた簪が入っている。

「陛下これ……」
「あの形見の玉はそんなに悪くなかったから、磨きなおして大きな玉と組み合わせて簪に仕立てたんだ。これならずっとつけていられるよ」

 思いがけない贈り物に、夕鈴は感極まり陛下に抱きついた。

「ありがとうございます! 一生大事にします」
「夕鈴が喜んでくれるならそれでいい」

 二人は口付けを交わし、寝所へと消えて行った。

おわり
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