あの日の君は 中編
こんばんは~ (*´-`*)
やっと続きが書けたのでアップに来ました!最近書くのに時間がかかって(´・ω・`;)

そしてちょっとSNSの方のキリリクあんまりお待たせしないよう、そちらに取り掛かろうと思いますので後編はちょっと更新遅くなると思います。

※今回は名無しのオリキャラが出ます

設定

現代パラレル

夕 (くノ一)
黎翔 (現代の社長)
李順 (秘書)
浩大 (ボディーガード)
克右(ボディーガード)
張元 (珀家相談役)



 平日は忙しなくビジネスマンが行き交う都心。その一等地に自社ビルを持つ白陽エンタープライズ社の中では、最近ある噂が囁かれていた。

「ねえ、聞いた? 社員の素行調査されてるんじゃないかって話。新社長になってから消える人多いよね」
「聞いたけど、これだけいる社員の素行調査なんてそんな簡単には無理じゃないの? 本当の所は分からないんでしょ?」
「でもつい最近聞いたわよ? ライバル社に情報横流ししてた課長がクビにされたとか。自分は仕事しないくせにパワハラが酷かった上司が降格させられたとかさ! あのセクハラ上司もクビにしてくれないかしら。この間なんてね……」

 トイレで化粧を直しながら女性社員達は噂する。一人の掃除婦がそっと掃除道具を持つと、人気の無い方向に歩き去った。


 ビルの一室で浩大はPCに向かい、カタカタとキーボードを叩いていた。不意に気配を感じ、机の上のボールペン型武器を手に取って振り返りざまに突くと、相手はひらりとかわす。そこにいたのは帽子を深く被った掃除婦だった。敵ではない事を確認すると警戒を解き、武器を懐に仕舞う。

「何だあんたかよ。気配消して入室されるとスパイと間違えるって」
「癖だからしょうがないわ。次はどうするの?」
「うん、ご苦労様。女は噂好きだから情報流れてきて助かるさ。じゃあ今度はそっちの服に着替えて、教えた通りにヨロシク」

 掃除婦は頷くとそこに用意されていた服を持ち、別室へと移動して行った。

「今度はどうかな……」

 浩大はその背中を見送りながら頭の後ろで腕を組むと、楽しそうに呟き背もたれに寄りかかる。そのまま暫く画面を眺めていたが、何か思い立ったように立ち上がり部屋を出て行った。


 同時刻――社長室では黎翔が書類に目を通していた。ノックの音が聞こえ入室を許可すると、李順が入室してくる。その手にはしっかりと書類を抱えられている。それを黎翔の机の上に置き、その中から数枚の紙を抜き出し手渡した。

「これが新たに判明した横領と情報を流していた社員の資料です」
「やはりまだいるか……いくらでも出てくるな」

 黎翔は渡された資料にさらりと目を通すとバサリと投げる。

 白陽エンタープライズ社前社長(黎翔の兄)は経営者の素質が無く、社員に実権を握られ父親の大きくした会社は傾きかけていた。そんな折前社長が交通事故に遭って亡くなり、次男の黎翔が社長に就任して社内の粛清に力を入れていた。

「ですが最近はあの夕のおかげで粛清のペースが上がっています。このまま行くと早いうちに立て直せそうですよ。すべては貴方の思惑通り」

 李順は眼鏡を光らせニヤリと笑う。黎翔はそんな李順を一瞥し、無言のまま背を向け窓の外を眺めた。


 ある男が緊張の面持ちでビルから出てくると、少し離れた所でタクシーに乗り込んだ。タクシーが走り去った後物陰から小柄な男が現れ、スマホを取り出しメッセージを送ると車に乗り込んだ。

 タクシーはある料亭に止まり、男はそのまま奥の部屋に通される。そこには三人の男が待っていた。人の良さそうな男と小太りの男は先に酒を飲んでいるようだったが、一人の強面の男は辺りを窺う用に廊下の傍に座っていた。男はその光景に一瞬息を呑むが意を決して口を開いた。

「お待たせして申し訳ありません。少し手間取ってしまって」
「お待ちしてましたよ。まあ貴方も座って一杯やりなさい」

 男は促されるままに席に着くが、強面の男が気になってしょうがない。それに気付いた人の良さそうな男が説明をする。

「あの男はただのボディーガードですよ。こういう場ですから念の為ね」

 説明を聞き少し安心した男は、緊張で喉がカラカラになっていた事もあり、勧められるがままに一気に酒を流し込んだ。

「では例の物を見せてもらいましょうか」
「はい。でもその前に本当に約束通りにしていただけますか?」
「その情報の代わりに謝礼金と貴方を我が社に幹部として引き抜くという話ですね。もちろん約束ですからその通りに致しますよ。謝礼金で貴方の娘さんは助かる。再就職先も決まる、悪い話はありませんね」

 人の良さそうな男はニコニコしながら答える。その様子を夕は天井裏でマイクをセットしながら聞いていた。
(いつの時代も同じなのね……でも娘が助かる?)
 夕は一人呆れながらも娘の事が少し気になり、後で浩大か克右に聞いてみる事にした。マイクをセットすると、元の部屋に戻る。すると一緒に来ていた大柄な男は一人で料理をつまみながら酒を飲んでいた。

「首尾はどうだい?」
「上手く出来たと思う。それより一人強そうな男が一緒にいた。姿は見えないけど一人気配が違ったわ。気配は消してたからばれてないとは思うけど」

 会話しながら夕はくノ一衣装の上から服を着込んだ。それを見て慌てて大柄な男は視線を逸らす。

「まだ終わらないし食事するか」
「そうね」

 二人はイヤホンから聞こえる会話を聞きながら食事を始めた。

「それにしても夕はこっちに来てまだ半年なのに馴染みすぎだろう」
「そう? 分からない言葉は多いし、李順さんには怒られてばかりだけど。それにこれで浩大からの指示がないと何も出来ないわ」

 そう言いながら夕は耳に付けた小型イヤホンを指差す。浩大に現代の道具の使い方を叩き込まれ、戸惑いながらも今まで何とかやってきた。正直早く元の時代に戻りたい気持ちはあるが、まだ方法も分からない。今はお世話になっている黎翔の為に働く事しか出来なかった。

「お、フラッシュメモリの受け渡しも済んだしそろそろお開きみたいだな」
「じゃあ回収してくるわ」

 夕は服を脱ぎくノ一衣装になるとひらりと天井裏に上がり、マイクの回収へと向かった。

「流石鮮やかだな」

 部屋に残った克右は一人ごちる。
 気配を消しマイクを回収して部屋に戻る時、強面の男が天井を見ていた事に夕は気付いていなかった。


「眠れないのか?」

 黎翔は自宅に持って帰った仕事を終え、窓の外に目を向けると夕が一人で庭に佇んでいるのを見つけた。手に上着を持つと庭に出て夕に声を掛ける。
 夕は今日の娘の為に不正をした男の事を考えていると、青慎の為にくノ一修行を始めた事を思い出し、眠れなくて庭に出ていた。そこで不意に声を掛けられ驚き振り返った。

「夜は冷えるからその格好では風邪を引く」

 そう言って黎翔は夕に上着を掛けてやる。

「青慎の事思い出して……私はいつ帰れるのかなって」
「それは今張元が調べている。夕はその間私の手伝いをする約束だろう」

 夕は無言でコクリと頷くと涙で潤んだ瞳で見つめ、黎翔は気付けば夕を抱きしめていた。

「社長……?」

 突然の事に戸惑う夕。だが黎翔自身も戸惑っていた。最初はただスパイとして使えそうだから、その為に利用するつもりだった。全く違う時代で心細かっただろうに、弱音も吐かず恩返しにとこの半年頑張ってその役目を果たしてくれている。そんな夕がふいに見せた弱さに堪らなくなって無意識に体が動いていた。
今迄の女とは違う感情が生まれている事には気付かないまま……

「とりあえず部屋に戻ろう。寂しいなら眠るまで傍に居よう」

 そのまま夕を促し部屋へと歩を進めた。

つづく
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