最後に笑うのは誰だ 後編
こんばんは(*^_^*)
明日が早いので今日は予約投稿です!

今日は後編を持ってきました。


一応本物夫婦設定で色々捏造してます!





「陛下! あの覆面の人凄かったですね! 小さい体であんなに体格差のある人達を倒していくなんて。やっぱり人間努力と根性ですよね! 私ももっと頑張らないと」

 試合の興奮が未だ収まらない夕鈴は、両手に握り拳を作り自分に気合を入れていた。

「夕鈴はもう十分頑張ってるから、それより僕に構う方が先だと思うよ」

 黎翔は夕鈴に近付くと、逃げ腰の夕鈴を捕まえ膝に乗せる。

「そんなに武闘会が気に入るとは、予想外だったな。まさか私より心を奪われるとは」
「私はただ凄いなって思っただけですから……もうっ李順さん助けてください」

 人の目があるにもかかわらずイチャイチャし始める黎翔に、困った夕鈴は李順に助けを求めた。

「もうこのまま見せ付けてやれば良いんじゃないですか? 縁談よけにもなるし。陛下は気を抜き過ぎないようにそれだけ気をつけてくださいよ」

 突然目の前で繰り広げれる仲睦ましい様に、李順はげんなりとした顔でチラリと夕鈴を見やると、それだけ告げ我関せずを貫く。

「えっ! 李順さんーっ」
「お静かにっ」

 そんなやり取りが繰り広げられている頃、闘場では次の試合が開催されようとしていた。


「それでは二部の第一試合を始める! 徐 克右と柳 方淵。両名場上へ」

 名前を呼ばれ二人が登場すると会場は盛り上がりを見せる。

「今回文官も数名出場してるとは聞いたが、お前さんも出てるとはな」
「当然だ! 陛下より皆平等に参加するようにとのお達しがあったんだ。臣下はそれに応えるのが当然だろう」
「そうだな」

 真剣な面持ちの方淵に克右がふっと笑うと開始の鐘が鳴らされた。
 最初に打ち込んだのは方淵。カンッと乾いた音が響き克右は軽く受け流す。
 方淵が息つく間もなく打ち込むと、克右はカンカンっと受け流しながら少しずつ移動していった。

「何故貴方は打ち込んで来ないんだ! 誰が相手でも全力でやるのが筋というものだろう!!」
「そうか、それはすまなかった」

 克右は言い終わると先程までの柔らかさは一切なくなり、ただならぬ殺気を身に纏いニヤリと笑う。
 その変わりように方淵は思わず息を呑んだ。

「さすが戦場の鬼神と呼ばれた陛下と、共に戦っただけのことはある」

 方淵は暫し隙を窺うがそんなものがあるはずもなく、棍を握り直し思い切って仕掛ける。
 力いっぱい打ち込むと、そこにいた克右は棍で軽く受け流し横に避けた。対象がいなくなり方淵は一度踏み止まろうとするが、足払いをかけられそのまま場外に倒れ込んだ。

「勝者! 徐 克右!!」

 司会が勝者の名前を叫ぶと、会場は歓声に沸き立った。
 克右が歩み寄ると、方淵はキッと睨み不満を口にする。

「何故まともに戦わない! 私が文官だからか」
「ああ、文官だからだな。怪我させて仕事にならなくなったら困る。本職に支障が出るのでは本末転倒だからな。俺には出来ない国を良くする為の政務を頑張ってくれ」

 克右は微笑み、そう告げると方淵は眉間にしわを寄せたまま視線を逸らし呟いた。

「ああ、日々精進する」

 立ち上がり闘場から去る方淵を見送ると、克右は一人呟き次の対戦相手を待つ。

「俺も期待に応えないといけないんでね」

 その後克右も順調に勝ち進み、残すはコウとの決勝を待つばかりとなり暫しの休憩が設けられた。


「陛下っ! やっぱり克右さんも凄いですね! 次は覆面の男と克右さんですよ。体格もタイプも違う二人が戦うとどうなるのか楽しみですね!」
「うん、そうだね。夕鈴こういう荒っぽいこと好きじゃないかと思ってたけど楽しそうだね」

 夕鈴が興奮気味に話すのを陛下は面白くない顔で見ていたが、本人は気付いていない様子でそのまま続ける。

「私、武闘会好きになりました! 二人とも格好良かったですよね。あっ! そろそろ始まりますよ! ドキドキしますねっ」
「楽しみだね」

 ニコニコと笑顔の国王夫妻が見守る中、決勝戦が始まった――


「さすがに軍人さん相手に素手は大変そうだからさ、鞭を使わせてもらうぜ」
「お前なら素手でも大丈夫だと思うが?」

 開始の鐘が鳴ると、二人の雰囲気が変わった。
 コウは後ろに飛び、少し距離を置き鞭を振るう。ヒュンと風を切り克右に向かうがそれは克右の棍で叩き落された。

「さすがにこの程度じゃ無理ダヨネー」
「今度は俺の番だな」

 言いながら克右はコウの首を狙い突きを繰り出すと、コウは素早く避け克右の懐に入り下から腹に肘鉄を食らわせる。

「ぐっ……流石に今のは効いたな」
「よく言うよ。しっかりダメージ軽減させてるくせに」

 わざとらしく腹を押さえる克右に、コウは冷笑を浮かべ飛びかかり、克右は棍を構えた。
 その瞬間どこからか向けられる殺気に、二人は思わず飛びのいた。

「二人とも楽しそうだな。私も混ぜてくれないか」

 声の主を確認して二人は青ざめる。
 そこには冷たいオーラを身に纏った黎翔が棍を手に立っていた。
(何故か怒ってらっしゃる)

「最初に褒められていたお前から逝くか? 浩大」
「いや、何の話デスカ!?」

 黎翔はそれには答えず、素早く打ち込むとコウはそれを素早く躱し、鞭を振るい黎翔に巻き付けた。

「ちょっと陛下大人しくしてくれよな」
「こんな物で私を止められると思ったか」

 黎翔はそのまま体に巻きついた鞭を力いっぱい引き千切る。

「俺の鞭、ちょっとやそっとじゃ千切れないようにしてあるのに」

 息つく間もなく攻め立てる黎翔に、浩大は武器も無くなり困った。
 生身で棍を受けるのは避けたいが、黎翔の気が済まないことには終わりそうにない。
 コウは覚悟を決め反撃に出る。するとそこで克右も黎翔に打ち込んで来た。

「ほう、二人で来るか。それもよかろう。ところでお前も我が妃に褒められていたな。お前から逝くか?」

(理由はそれか!!)
 カンカンッと棍の打ち合う音が響き、二人が集中しているところにコウが隙を付き攻撃を仕掛ける。
 だが黎翔はひらりと避けると、克右の棍を跳ね飛ばしコウにも鋭い突きを繰り出した。

「そこまで!!」

 会場に制止の声が響き黎翔もピタリと制止すると声のした方に視線を向ける。
 皆の視線が集中すると、そこには黎翔に咎めるような視線を投げる李順がいた。

「今回の試合は引き分けとする! よって優勝者は無し!!」

 李順は叫び、少し落ち着いた様子の黎翔は夕鈴に視線を向け一息つき声を上げる。

「だが、二人には特別に褒美は出そう! 皆大儀であった。最後は私も乱入し、突発的な状況でも対応出来るか見させてもらった。
 戦場では何が起こるか分からない。臨機応変に振る舞えるかも重要だからな。コウのように小さな体でも日々の鍛錬と工夫で克右のような大男とも渡り合える。 元々体に恵まれている克右であっても日々の鍛錬なくしてこの強さは維持できない。皆驕らず日々精進していくがよい」

「ではこれにて武闘会は閉幕とする」

 シーンと静まり返った会場に黎翔の声が響き、司会が終わりを告げると会場は騒然となり武闘会の幕が閉じられた。


「お待たせ夕鈴。僕の活躍も見てくれた?」
「陛下がいつの間にか居なくなったと思ったら、乱入してるから驚きましたよ。でも陛下も色々考えてるんですね! 戦う陛下格好良かったですよ」

 夕鈴に満面の笑みで褒められると、黎翔は満足気に微笑み抱き上げた。

「じゃあ後宮に戻ろうか」
「きゃっ! 陛下! 自分で歩けますから降ろしてください!」

 その言葉は聞かなかった事にし、黎翔はそのまま後宮に向かった


 その後黎翔は李順の小言を聞く羽目にはなったが、克右と浩大に特別な褒美として黎翔との手合わせを贈り、夕鈴にも褒められご機嫌な様子の黎翔だった。

「どうせこんな事になるだろうと思ってました。これで陛下の機嫌も良くなり政務も捗りますし、優勝賞金を出さなくて済んだので一石二鳥ですね」

 李順は一人呟き、ほくそ笑むのだった。

おわり
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