夢見る石榴石
SNSでも、pixivでもアップしましたが、保管用にアップ
お題
『見たいのは夢じゃない・それでも会えてよかった・今、ここにいる』です。

原作沿い離婚編



下町に帰ってきてから忙しく毎日は過ぎていくけど、忘れられないこの想い――。

陛下が大好き。無理だと分かっていても、また逢いたい――。

あの日、全て忘れてしまえと言われたけど、最後に一つもらったこの石榴石。


明玉曰く『信頼と愛の石』らしい。

それを陛下が知っていたのか、今となっては謎のまま。

寝る前はやっぱり寂しいから、今日は石榴石を握って寝る。


「……ん。ゆ……りん。ゆーりん。まだ寝てるの?」

「ん……。陛下、なんでここに?」
「ゆーりん寝ぼけてるの?僕達は本物の夫婦になって同衾するようになったのに」
子犬の顔でしょんぼりされると罪悪感に襲われる。

「ごめんなさい……」

思わず手を伸ばすと、その手を取られ陛下の整った顔が近づいてくる――。





目を開けると何時もの自分の部屋にいた――。

「夢か……。見たいのは夢じゃないのに、
それでも会えてよかったわ。よしっ!今日も頑張ろう」






「夕鈴今日はご機嫌ね。何かいいことあった?教えなさいよー」

明玉に詰め寄られるけど、夢を見ただけだし……。

「何もないわよ、さあ仕事仕事」





「やっぱりこの石榴石のおかげかしら?」

またしっかりと石榴石を手に持ち、眠りについた――。



気がつけば唇を塞がれ押し倒されている――。

思わず顔を振って唇を離す。

「夕鈴どうした? 」
「ちょっと待ってください、心の準備が出来てません」

顔が熱いし心臓がはねる。
(同衾だけでも恥ずかしいのに何でこんな事になってるんだろう……)

「我が妃はいつまでも愛らしいな。今日のところはこれで我慢しよう」

再び唇を塞がれ、そのまま眠りについた――。



思わずガバッと起き上がり、鏡を見ると顔が赤い。

「夢でも会えるのは嬉しいけど、何でこんな夢なのかしら」

火照る顔を水で洗い、家事にとりかかった。

「お妃ちゃん、最近何かおかしくない?」

「わっ急にびっくりするじゃない。おかしくはないと思うけど、ただ違うことって言ったら夢を見てる事くらいよ。へーかのね……」

小さく呟き、そのままご飯をつくっていると、気付いたら浩大は消えていた。

「陛下の夢か……。向こうはどうなんだろな〜」




――そして夜になると石榴石を握って眠りにつき、夢の中で会う。毎晩毎晩繰り返す。





――王宮

「陛下!大変だ!!お妃ちゃんが目覚めなくなった!!」
人払いをすませると浩大が慌てて入ってきた。

「どういうことだ」

「最近陛下の夢を見るって言ってたから、夢の中から現実に戻りたくないんだと思うけど……。今弟君たちが大騒ぎで、医者に見せても駄目で困ってる。陛下が現実で会ってやればいいんじゃね?」


「今すぐ下町に降りる。李順に伝えておけ!!」

すぐに李翔の格好に着替え夕鈴の元に駆けつけると、青慎君と医者に囲まれ、微笑みを浮かべて寝ている夕鈴がいた――。

「青慎君!夕鈴の調子は?」
「えっ李翔さん?もう来ないって姉さんから聞いてましたけど」

驚いた顔で見られるが、今はそれどころじゃない。

「夕鈴が心配で来たんだ、ごめん2人きりにしてくれる?」

2人の気配が離れて行くのを確認してから声をかける。

「夕鈴起きて、僕だよ」

声をかけても無反応で。手には何か握られていて、そっと開いてみると最後に贈った石榴石が握られていた。

「夕鈴……」
そっと手を伸ばし頭を撫でてみると、少し反応し、頬を撫でるとピクリとする。

「夕鈴起きて」
顔中に口付けると、まつ毛がピクリと動く。

そのまま唇を塞ぐと、少しするとゆっくりと瞼が開いた。

「夕鈴っ!!」
「あれ、陛下どうしてここに?」

(あんなに逢いたくて仕方なかった夕鈴が今、ここにいる)
思いを噛みしめるように、状況が飲み込めない夕鈴を抱き締める。

「夕鈴ずっと寝たままだったんだよ。夢の中で僕に会ってたって?そんなに会いたかったなんて嬉しいよ。本当はこのまま連れて帰りたいんだけど、今は出来ない……。この石榴石は大切な人との別れに、再会の誓いとして贈りあう石でもあるから、今回のようになるのは困るけど。また再会出来ることを祈って、今日は戻るよ――。もう全て忘れてしまえなんて言わないから待ってて」

「はいっ!少しでも会えて嬉しかった」

真っ赤になった夕鈴に、もう一度口付けを落とし家を後にした。
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テーマ : 二次創作:小説
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