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糸を手繰れば
おはようございます!

久しぶりにSS投稿できます(o^^o)
姉達も帰ったので、本当はもっと早く書く予定だったのですが遅くなりました^^;
「時盗人 novello様」と同時投稿予定で、私が時間がかかりお待たせしてしまいました。

書き忘れてた事を思い出しまして、追記。後書き入れました。
あ、そういえばこちらのブログいつの間にか二周年過ぎてましたΣ
今年も何も出来ずでしたが、いつか何かしたいな…

そして、今回は本誌101話ネタバレSSとなりますので、コミックス派の方はお気をつけください。
陛下は最後の方しか出てきません。
更に本誌ネタバレの上にその後の捏造SSとなります!

よろしければどうぞ〜


「糸を手繰れば」













 青慎の為に働いて家事をして、そんな何時も通りの日常を送っていたのに……。
 ある日目覚めた私は、あの冷酷非情で有名な狼陛下の妃になっていた。



「お妃様。天気もよろしいですし、四阿でお茶などいかがですか?」
「はい、ありがとうございます」

 記憶喪失だと告げられ陛下と夫婦だと言われても、今の私は何も思い出せない。最初は夢だと思ったのに、いつまで経っても目覚めなかった。
 今は優しげな女の人達に勧められるままに四阿に向かう。

(うーむ……)
 何処を歩いても四阿で綺麗な庭を眺めても、全く覚えの無い光景が広がるだけだ。綺麗な衣装を着て、美味しいものを食べるだけの生活は罪悪感も募ってくる。
 青慎と父さんはきちんと生活出来ているのかも心配になってきた。

「聞いてみようかしら」

――だけど私の下町に戻りたいという願いは、眼鏡の側近により却下される。何故かとても恐ろしかったが、最後の言葉は心に残った。

「陛下の為に、どうか頼みます」





「やっぱり忘れているのね」

 部屋に戻る途中ひょっこり出てきた隠密にも、思い出してあげてと言われた。それにあの噂の狼陛下の寂しそうな笑顔を見てしまった今、これ以上疑う気にはなれない。
 
『僕が側にいては駄目?』

 あの時も緊張と恥ずかしさで答えられなかった私に、優しく声を掛け去って行った陛下。あれから何日も姿を見ていなかった。
 噂と全く違う優しい陛下は、私が記憶を戻す為だとしても再び頭を打てば心配するかもしれない。
 それならば今、自分に出来ることは――?



「以前のお妃じゃと? そりゃあ陛下の寵愛を一身に受け、毎日熱い夜をおくっていたわい」
「そうですか……」

 何か思い出すきっかけになればと、女官に相談の上で老師の下を訪れた。だけどやはりその言葉からうかがい知れるのは、仲の良い夫婦だったと言う事だけ。
 やっぱり早く思い出したほうがいいのだろうけど……。

「ほれ、この本を読んで思い出すのじゃ。それを使ってお前さんは勉強しておったぞ。これは後宮の本気じゃ」

 考え込んだ私に差し出された一冊の本は、ズッシリと重く厚かった。
 後宮管理人の老師に渡されたのだから、きっと記憶を取り戻す鍵になるのだろう。大事に抱えると、お礼を告げ部屋に戻った。



「後宮の本気……って何かしら?」

 自室に戻り持ち帰った本を眺める。最後の老師の言葉が気になるが、それも読んでみればわかることだろう。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
 これで記憶が戻ればと、緊張の面持ちで中身を確認するが、その内容に驚き勢いよく本を閉じた。

「え……」

 そのあまりのびっくりぎょーてんな内容に、言葉が出ない。自分がこれで勉強していたなど信じられなかった。
 本当にこれを読めば記憶が戻るのだろうか? だけど恐ろしくて開くことが出来ない。



「お妃ちゃん、それ騙されてっから」
「誰っ?」

 どうするべきか頭を抱えて悩んでいると、ふいに男の声がした。振り返ったその先には今日会った隠密が窓から覗いている。

「どうしようかと最初は見守ってたけどさ、お妃ちゃんが困ってるから思わず出てきたぜ」
「そう……って事は、これを読んでも無駄って事?」

 苦笑する隠密の言葉に納得しかけたが、そこで騙されていた事に気付いた。がっくりと肩を落とす私に、隠密はサラリと答える。

「無駄では無いだろうけど、別に無理して読まなくてもいいんじゃね」
「それなら貴方。今までの私の事を教えてくれない?」

 この本は今の自分には無理だと判断し、目の前の隠密に問い掛けた。護衛と言う事は私の事を良く知っているはずだろう。

「んー。李順さんの言う通り、あまり詳しく言っても混乱するだけだろうし一言だけ。いつもお妃ちゃんは陛下の為に頑張ってたな」
「陛下の為……」

 どこか楽しそうに即答した隠密の言葉を聞いて、私は考え込んだ。
 陛下の為に頑張るとは、何をすれば喜ばれるのか分からない……。だけどこれまでと同じ行動をしていたら、何か思い出せるかもしれない。
 まだ戸惑いが大きく緊張する私の為に距離を取ってくれている陛下。あの人に何かお返しがしたいと、そんな思いが沸いてきた。

「お、やる気になったかな? 俺でよければ協力すっからさ、何でも言ってよ」
「ありがと、浩大? よろしくね」

 様子をうかがっていた隠密は、嬉しそうに協力を申し出た。心強い協力者も出来た事だし、今はただ前を向き出来ることから始めよう――




「お妃ちゃん」
「浩大、どうだった?」

 あれから何日か経ったある日の夜。
 一人で自室にいると窓から浩大が顔を出した。

「もちろん喜んでたさ。てか、喜ばないわけがないよなっ」
「そう、よかった」

 ニカッと笑った浩大の言葉にホッと胸を撫で下ろす。最近陛下が政務が忙しく王宮に篭りきりとの話を聞き、李順さんに調理場の使用許可を貰った。 
 差し入れの肉饅頭を作り、温かいうちに浩大が陛下の元へ運ぶ。

「昔は陛下に手料理を振舞ったって聞いて驚いたけど、本当だったのね」
「嘘は言わねーって。それよりさ、これ陛下から」

 そう言って浩大が懐から取り出したのは、一通の文だった。
 恐る恐る開いてみるとそこに書かれていたのは『おいしかったよありがとう』の一文だけ。

「短いけどそこに陛下の気持ちが篭ってっから」

 それだけ言って浩大は姿を消し、私はその文を見詰め続けた。




「ほい、今日の手紙」
「いつもありがとう」

 初めての差し入れの後から、差し入れと共に文も言付けた。
 陛下を目の前にすると緊張するけど、これなら落ち着いて書けるから。政務の邪魔にならないように気をつけて、長すぎない文を心がけた。
 それから陛下との文のやり取りが続けられていった。


『もうすぐそちらに戻れる。その時は君に会いたい』
 今日の文の最後の言葉を見て私は固まる。記憶はまだ戻っていないし、文のやり取りはしていたけれど陛下を目の前にしてちゃんと話せるだろうか。

「お妃ちゃん落ち着けよ。記憶を取り戻すためにこれまでのように行動するんだろ」
「そ、そうね」

 浩大のその言葉に覚悟を決め、是の返事をするべく筆をとった。
 後は心の準備をするだけ――




 数日後、とうとうその日が来てしまった。陛下のお渡りの先触れに私の緊張はピークに達する。
 ここまで緊張するのは、最初にあの綺麗な顔で「僕が君を愛してしまったから」と言われたからだと思う。文のやり取りはしていたし、覚悟も決めたけれどドキドキは止まらなかった。

「夕鈴?」

 どうしても落ち着かなくて部屋をウロウロ歩き回っていると、背後から聞こえた陛下の声に心臓が跳ねる。そのまま動揺からか足がもつれバランスを崩した。

「きゃっ」
「夕鈴っ!!」

 硬い床の上に倒れると思い痛みを覚悟し目を閉じる。だけど痛みは無く、私の体は温かい腕に包まれていた。
 その腕が誰のものかは簡単に想像できて、今は目を開けることが出来ない。だけどこの温もりには覚えがある気がして、心地よかった。
 恥ずかしいけれど、ずっとこのままで居たいとさえ思える。

「大丈夫?」
「はっはい」

 少しの間の後、陛下の優しい声が聞こえた。その問い掛けに答えると、陛下は安心したようにため息を吐いた後「ごめん」と離れようとする。

「待ってくださいっ! もう少しこのままで……」

 何か思い出せそうな気がして、思わず目を閉じたままギュッと抱きつくと唇に何か柔らかい感触が伝わる。それが何か分かった時、羞恥と共に一気に記憶の波が押し寄せてきた。
 ゆっくり瞳を開くと愛しい陛下の顔が見える。事故とはいえ何故今まで忘れていたのかと自分を責めた。
 異変に気付いた陛下が唇を解放し、私は瞳に涙を湛えながら陛下の名を呼ぶ。

「黎翔さま……ごめんなさい」
「夕鈴……記憶が……?」

 驚き目を見開く陛下の問いに、無言で頷けばきつく抱きしめられた。ずっと側にいようと誓ったのに、陛下にあんな顔をさせてしまうなんて。

「ごめんなさい……。もう二度と……、離れませんから」
「いいよ、君が戻ってきてくれただけで」

 私達は床の上と言うことも忘れ、抱き合い口付けを交わしていた。




「それでこれが最初にもらった文だよ。中身はね――」
「陛下! もういいですからっ」

 記憶が戻ってしばらく経っても、陛下は私の記憶喪失時代の文を大事にしている。それはいいのだけれど、目の前で広げ音読するのは恥ずかしすぎた。

「何度も言うけどね。夕鈴に忘れられて悲しかったけど、記憶がなくて僕を恐れていた君が僕の為に努力してくれたんだ。嬉しくないはずが無い」
「そ、そうですね……」

 その辺りの話は申し訳なくて、強く言えない。
 だけど――

「黎翔様。無いとは思いますけど、もしも私が貴方を忘れる事があっても……。また陛下を好きになる自信はありますからね」
「そうか。では私は、愛の力で君の記憶を取り戻すと誓おうか」

 これだけは言っておこうと告げると、陛下は嬉しそうに私を抱え上げ色気たっぷりに誓ってくれた。
 私は幸せそうな陛下を見つめながら、もしも記憶が戻らなくてもまた陛下を好きになったと確信していた。


おわり




ってことで少し後書きを。
私が考えた捏造SSでした。
夕鈴の記憶を戻すのにもう一度頭を打たせて痛い思いをさせたくない私は、記憶の戻し方をぐぐります。

そして見付けたのが言葉が簡単に書くと「患者さんが最も日常で親しんでいた刺激?が回路が強化されているから記憶が甦る」というものでした。
え、夕鈴が最も日常で親しんでいたものとか、ハグとかキスじゃない?ってなりましてこういう結果となりました (*´-`*)

この後まと先生がどのように進められるのか分かりませんが、続きを楽しみに待っています。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

Secret
(非公開コメント受付中)

No title
全力で騙してくるブレない安定の老師にばかうけでした(笑)

老師だけじゃなく、原作の絵でありあり浮かんできました。
うん…もうこれでいいじゃないですか、いいですよね!?
夕鈴らしくこんな風に、早くーー!!(号泣)

「陛下を幸せにしてあげたい」補完話、ありがとうございました。
novello様
コメントありがとうございます!

やっぱり老師はこうかなと、入れちゃいました!うけてもらえて嬉しいです(o^^o)
本誌の台詞を借りながら、夕鈴らしく書けるようにがんばりましたので、そう言っていただけで嬉しいです〜
早く陛下をまた幸せにしてあげてほしいですね!

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
みね様
コメントありがとうございます!

今日は本誌発売日ですね〜(o^^o)
私も帰りに買います!早く記憶が戻ればいいですが、今回どうなんでしょうね。
早く買いに行きたいですが今日も仕事が忙しそうです(;´д`)

夕鈴らしか考えてたらこうなりました〜。みねさんにもそう言って頂けて嬉しいです(о´∀`о)
 


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