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複雑な味は幸せの記憶
こんばんはー(o^^o)
気づけば前回の更新から1ヶ月近く経ってました。

こちらはお誕生日リクで書かせて頂いたものですが、原作 下町で結婚報告と妊娠発覚を絡めた楽しいお話ということでしたのに書いていたら全く楽しくない話になり( ;´Д`)
最初はなんとか楽しくしようと試みたのですが、無理で忙しいの+悩んで中々書けませんでした。

でもSNSの方ではその方が公開して下さると言うことなので、こちらにアップさせてもらいます(*^^*)

最近私の周りで妊娠や子供のことに関する色々な事がありまして、周りの状況やストレスなどで側から見るとどうしようもない親だけど子供への愛情も完全に忘れたわけではない。そういうテーマで書きましたので全く楽しくないSSになったんですけどね。


と、いう事で原作の未来設定。色々捏造のお話になります!

よろしければどうぞ〜





「母さん大丈夫? 私も頑張るからね」

 近頃ずっと辛そうだった母。少しでも楽になるようにと、手伝いを頑張った日々。

 そんなある日、母が淡黄色の何かを口にしている。その時には居ない事の多かった父も傍にいて、嬉しそうに笑っていた。
 その光景を見てきっと幸せになる食べ物なんだと思った。それを口にするまでは――



(この雰囲気、変わってない)
 もう二度と戻れないと思っていた下町は、以前より人も増え活気に溢れていた。
 露店に目をやれば値切り交渉が繰り広げられていて、懐かしい光景に嬉しさが募る。

「あ、あの露店まだあるんですねっ」
 
 臨時花嫁時代に肉まんを買った屋台を見付け、嬉しくなり言いながら隣に目を向けた。だけどそこに陛下の姿は無くて、無意識に話しかけていた自分に驚く。
 道行く人の訝しげな視線を感じて、恥ずかしくなりそそくさとその場を後にする。
 今日は陛下と共に実家に帰る予定だったが、急ぎの政務が入り一人で先に帰ることになったのだった。

「帰ったら家事をして、父さんに先に話を付けておいてそれから……」

 政務を終えた陛下に手間取らせない為にも、先に会って話しておくのは重要だろう。まずやることを考えながら実家へ急いだ。
 

「青慎! ただいまっ」
「おかえり姉さん」

 顔を見るなり青慎に抱きつくと、目の前に顔があり驚く。記憶にある青慎はまだ私の頭一個分小さかったのに、いつの間にこんなに成長したのだろうか。

「大きくなったのね」
「僕だって成長期だから背も伸びるよ。それより姉さんも変わったね、綺麗になった」

 青慎も身長だけでなく、お上手を言うほど大人になったんだなとしみじみと思う。再会の感動に浸っていたが、未だに父親が姿を見せない事に気付いた。
 流石に連絡も入れているし、数年ぶりに会う娘から逃げるとは思えないが……。

「ねえ、青慎。父さんは?」
「それが、姉さんの事言っといたんだけど、帰ってこなくて」

 困った顔で答える青慎の様子から、相変わらず父は迷惑をかけているのだろうと悟った。今日は話もあることだし、しっかり言い聞かせようと思う。
 絶対に帰るようにと念押しする為、父親を探しに行くことにした。



「ここに来るのも何年ぶりかしら」

 男達の野次が飛び交う闘鶏場の入り口に立つと、昔よく父親を探しに来た記憶が蘇る。賭け事の嫌いな夕鈴はあまり入りたくない場所でもあるが、そんな事を言ってられないと意を決して踏み込んだ。
 騒がしい会場内を注意深く見渡すと、一番前に陣取り必死に叫ぶ父の姿を見付けた。

「父さん」

 人混みを掻き分け背後から声をかけるが、試合に夢中なようで気付いていない。

「父さんっ!!」

 仕方ないと思い切り息を吸い込み、耳元で叫ぶと父は飛び上がって驚いた。

「ゆっ夕鈴……驚かさないでくれ。それより今いいところなんだ邪魔しないでくれ」
「久しぶりに会う娘に言うことがそれ? もういい加減賭け事はやめなさいよ。青慎にも迷惑をかけてるんでしょっ」

 数年ぶりに会うのだから少しはまともな事でも言うだろうかと、少し期待していただけに父からの言葉に落胆する。再び試合に夢中になる父に「とにかく今日は大事な話があるから帰ってきて」と声を掛け、その場を後にした。



「青慎は勉強してればいいのに」
「姉さんは帰ったばかりで疲れてるでしょ。僕に任せてくれればいいのに、自分でやっちゃうから」

 あの後挨拶がてら買い物をして帰り、ご飯支度を始める。そこに青慎が「僕がするよ」とやって来た。
 お互いに譲らなかった結果一緒に作ることになり、共に三人分の食事を作る事になった。

「うっ……」

 香菜を切った瞬間。いつもは気にならない匂いが鼻に付き、気持ち悪さから口を塞ぐ。

「姉さん?」

 それに気付いた青慎が心配そうに私の顔を覗き込まみ、声をかける。疲れもあり体調が悪いのだろうかと、ほぼ出来上がっていることもあり後を任せて少し横になる事にした。

「初日から動きすぎたのね。昔はこのくらい平気だったのに、やっぱり体が鈍ってるのね」

 寝台に横になり王宮で体力を付ける方法を考えていると、瞼が重くなってくる。最初は何とか耐えていたが、いつの間にかまどろみに落ちていた。


 
 
「だからまだ早いって言ったのに」

 口の中に甘味、えぐみと辛味が広がって、あまりのまずさに涙を流す。青い顔の母は心配そうな顔で、私の口に干し棗を放り込んだ。
 そのおかげで甘い味が口いっぱいに広がり、嫌な味が和らいでいく気がした。

「夕鈴は大人になってからね」

 やっと落ち着いた所で母さんは笑顔で告げ、私はもう二度と食べないと心に誓った。



「――朝?」

 目を開けると僅かに差し込む朝日が見え、時間の経過に驚く。夢の余韻に浸っている暇は無いと、慌てて飛び起きると厨房に向かった。

「あ、姉さん。起きて大丈夫?」
「心配かけてごめんね。もう大丈夫! それより父さんは?」

 早起きして家事をしていた青慎と言葉を交わし、帰って来たであろう父の様子を尋ねる。とたんに困った表情を浮かべる青慎を見ると、居ない事は容易に想像できた。

「やっぱり帰ってないのね。分かった、今日は見付けたら即連れて帰ってくるわ」
「僕が探しに行くよ。姉さん体調悪いんでしょ」
「ゆっくり寝たから大丈夫よ。ちょっと疲れてただけだから」

 心配そうに見つめる青慎を安心させるように、笑顔で元気な様子を見せる。本当は昨日から何も食べていないのに食欲が出ず、なんだかずっと気持ち悪い。
 だけど青慎には余計な心配を掛けさせたくないし、勉強に集中して欲しかった。



「いってらっしゃい」

 何とか青慎を学問所へ送り出し、久しぶりの主婦業に精を出す。気になっていた掃除や繕い物等、やることは沢山あり体調が悪いなど言ってられない。
 一日忙しく動き回っていると、あっと言う間に時が経ち気付けば日が傾きかけていた。

「そろそろね」

 それに気付きまた父が姿をくらます前にと、慌てて父の職場に向かう。今日は動きすぎた為か何だか体が重く、少し歩いただけで息が上がってきた。
 立ち止まり深呼吸をして息を整える。少し休憩してくればよかっただろうが、職場を出るタイミングで捕まえないと父はまた帰らないかもしれない。
 この不調は気のせいだと自分に言い聞かせ、再び歩き出した。



「父さん、そっちは家じゃないよ」
「ゆ、夕鈴……」

 何とか辿り着くと、父が家と逆方向に向かっていて声をかける。飛び上がりそうなほど驚いた父は、私を見るなり申し訳なさそうな顔でジリジリと距離を取り始めた。

「また借金したの? 昨日は大事な話があるって言ったのに……。父さん、今日は一緒に帰ろ」

 今日こそは逃げられないように怒らないよう、なるべく優しく声をかけたつもりだった。一歩二歩と近付いていくと、父は突然逃げるように走り出す。

「あっ、待って!」

 慌ててその背を追い走り出すと、突然ぐらりと視界が歪んだ。
 体に力が入らずこのまま倒れるしかないと覚悟し、ぎゅっと目を閉じる。すると誰かに体を支えられ、そろりと瞼を開いた。
 
「夕鈴、体調悪いの? 顔色も良くない」
「あ……。り……翔さん」

 目の前には心配そうに顔を覗き込む、お忍び衣装を着た陛下がいる。その顔を見ると安心し、父に話を出来なかった事への罪悪感で涙が溢れてきた。

「とりあえず家に帰ろうか」

 その声にハッとし、先程父の向かった先に視線を向ける。父はもう行ってしまったと思ったが、人混みに紛れ驚いた表情でこちらを見ていた。

「父さん……」

 声をかけるとまた父は走り出し、今はそれを追う事も出来ず唇を噛みしめる。

「大丈夫だよ。今は帰ろう」

 そんな私に陛下は優しく声を掛け、フワリと抱き上げる。人目があって恥ずかしいけれど、今は父の事もあり涙が出そうで、陛下の胸に顔を埋め大人しく家まで抱かれていた。



「夕鈴、少し会わない間に何かあったの?」

 寝台に転がり少し落ち着いて来た頃。陛下に問いかけられるが、これ以上どうしようもない父の説明をするのは憚られた。
 だけどこのまま隠しておくわけにもいかない。

「先に父さんに話しようと思ったのに、逃げられて……何だか体調も悪いし」
「そっか……。とりあえずお父さんの事は置いといて、今はゆっくり休みなよ」

 そう言って陛下が頭を撫でてくれる。その手が心地良くて、優しくてゆっくりと目を閉じた。
(そういえばいつか父さんに頭を撫でられたな。あれはいつだっけ……)



「目が覚めた?」

 いつの間にか眠っていたようで、目を開けると心配そうな陛下の顔があった。

「大分良くなりましたから、大丈夫ですよ」
「いつも元気な君が珍しく泣いてるから気になってね。食事はちゃんと取った?」

 そういえば朝は心配掛けさせないよう無理して食べたが、昼は食べていない事を思い出す。だけど今はお腹は空いていないし、食欲もない。

「ちょっと待ってて」

 そう言って陛下は立ち上がり部屋を出て行く。一人天井を眺めながら、今日の父の顔を思い出していた。
 二人で帰るとは連絡したが結婚の事はまだ伝えていなかったはずなのに、何をそんなに驚いていたのだろうか。そんな事を考えていると、陛下が粥を持って帰ってきた。

「弟君が用意してくれたんだ。少しでも食べて休むといい。後の事は気にしなくていいからね」

 体を起こし陛下から受け取った粥を口に運ぶ。折角青慎が作ってくれた物なのに、何だか気持ち悪くてあまり食べられなかった。


「ごめんなさい」
「体調不良は仕方ないよ。良くなるようにゆっくり休んで」

 陛下はそう言ってくれるけど、私は食べられない罪悪感から涙が溢れる。いつもはこんなに涙もろくなんて無いのに、不調のせいなのか涙が止まらなかった。



「夕鈴っ」
「父さん……?」

 突然父が部屋に飛び込んでくる。そのまま陛下には目もくれず側に歩み寄ると、手に提げていた何かを差し出した。
 あんなに逃げていたのにどうしたのだろうか。

「夕鈴、気持ち悪くて食べれないんだろう。これはどうだ?」

 父から受け取った器には、淡黄色のプリンが入っている。それを見ると幸せそうな母の顔と、一口食べて泣いた懐かしい記憶が蘇ってきた。

「久しぶりに作ったから上手く固まらなくて、やっと出来たんだ」

 先ほど青慎のおかゆも食べられなかったのに、あまり食べられる気はしない。だけど父が折角作ってくれたからと匙を持ち、恐る恐る口に運んだ。

「これは……食べられる」
 
 そのプリンは生姜の風味が強いが、今の私にはちょうどよくつるりと喉を通っていく。

「お前は母さんによく似ている。だから今日の様子を見てすぐ分かったんだ。赤ちゃんが出来たんだろう」
「え……」

 突然告げられたその言葉に驚き、ただ目を見開いく。確かに言われてみれば、この不調はそうなのかもしれない。
 そんなことを考えていると、黙って横にいた陛下が私の手を握る。

「それで調子悪かったんだね。帰ったら診てもらおうよ」

 ニッコリと嬉しそうな陛下を見て、少し安心した。世継ぎは必要とは言え、陛下は子供を求めているようには見えなかったから。

「はい……」

 自然に涙が流れ頬を伝い落ちる。それを陛下は優しく拭ってくれた。
 その様子を見ていた父が、少し困った顔で口を開いた。

「しばらく会わない間に結婚して、相手を連れてくるって聞いて正直会いたくなかったんだ。だけど今日の夕鈴の様子を見て、いてもたってもいられなくてな」

 慌てて材料を買いに行き、知り合いに厨房を借りて作ったという父を見ると昔の記憶が蘇る。
(はっきりとは覚えてなかったけど、あの時は母さんが青慎を身籠った時だったのね)

「辛そうな母さんによく作ってたの覚えてるよ。ありがとう父さん」
「また作ってやるからな」

 そんな父の気持ちが嬉しくて自然に笑顔になり、先程のプリンで少し気分も良くなってきた気がする。そこで初めて今回の目的である夫の紹介をしていない事に気付き、慌てて口を開いた。

「あ、父さん! こちら私の元上司で夫の李翔さん。いつも仕事を頑張る素敵な人なの」
「初めましてお義父さん。中々ご挨拶に伺えなくて、遅くなって申し訳ありません」

 まだ本当のことは言えないので簡単に紹介をすると、今まで見守ってくれていた陛下も挨拶をする。父は何だか気まずそうな様子で返した。

「いえ。行き遅れてた娘をもらって下さり、お礼を言わなければならないのはこちらです。なのに避けてしまって申し訳ないです」

 それだけ言うと父は「これ以上邪魔はしない」とそそくさと部屋を出て行く。あまり突っ込まれなかったのはいいが、やけにあっさりしている。
 だけど今は体調の悪さもあり、大して気には止めなかった。





「大丈夫そう?」

 数日実家で過ごし家族に別れを告げ、人通りの少ない場所まで移動する。そこで王宮に戻る為に馬車に乗り込んだ。
 滞在中は最初は気まずそうだった父も、気付けば陛下と仲良くなっていてほっと胸を撫で下ろしたものだ。今日は少しの気持ち悪さはあるが、今朝は父と共に陛下が作ってくれたプリンで心は満ち足りていた。

「大丈夫です。早く帰って診てもらいましょうね」
「うん、そうだね」

 笑顔を向けると陛下も嬉しそうに見える。
 どうしようもないと思っていた父の、愛情を感じられた今回の帰省。少し寂しさはあるけれど本当に帰ってよかった。
 馬車の中で陛下は私を膝に乗せ、優しく抱きしめてくれた。その腕の中でまたこの子が生まれた後、三人で帰省出来る事を夢見て静かに目を閉じた。


おわり
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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(非公開コメント受付中)

No title
凄くほんわかしました!心が洗われますね(*^_^*)お父さん優しい(*^。^*)
みね様
コメントありがとうございます!
ほんわかしてもらえて良かったです(o^^o)

このネタのためにお父さんにはひどい人になってもらいましたが、最後は挽回しました!
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
くれは様
コメントありがとうございます!
今は匂いだけでダメなんですね∑(゚Д゚)
また下町編読みたいですよね〜岩圭さんまともに出て来てないし。

どんぶりプリン食べ応えありそうです!どこかにバケツプリンとかもありましたよね(*^^*)
陛下みたいな旦那様落ちてたら私も拾いに行きます!(捨て犬じゃない(・・;)
 


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