乙女の為の求婚指南(プロポーズの日)
またまた深夜にこんばんは~ (*´-`*)

他に書かないといけないものがあるけれど書いちゃいました!
そしてまたプロポーズの日を過ぎました…今回は前日から書き始めたのに(・・;)
今回のお話は前回のラブレターの日SSの紅珠のお話の続きから始まります。
そして前回頂いたコメントからのネタを少し含んでいます。

6/3追記
昨日から上げたり下げたりすみません(・・;)
やっぱりタイトルに合わせて書き直しましたので、また下げさせてもらってました。

問題ない方はこのままどうぞ~
 

 陛下への文を託してから、数日が過ぎたある日。
 退宮後は隠れるように屋敷に篭っていた夕鈴は、何故コソコソと隠れなければならないのだろうと思い切って外出する事にした。
 久しぶりに歩く街は活気があり、それらを見ているだけでもいい気晴らしになった。暫く歩いていると、何処からか陛下の悪評が聞こえてくる。
 辺りを見回し耳を済ませると、そこかしこでそんな話が囁かれていた。夕鈴は懐に仕舞った文を握り締め、陛下はそんな人では無いのにと胸を痛める。
 王都から遠く離れたこの地でも囁かれるその噂を払拭する為に、夕鈴は立ち上がった――


 始めは護衛として付けられた隠密に協力を頼む。そこから信用できる者を増やしていった。
 最初は一人だった協力者も、陛下の為にと一生懸命な夕鈴の様子を見て二人、三人と増えていった。夕鈴は自ら地方の権力者の屋敷に下女として潜入し、悪評を流す闇商人の手がかりを探す。

 
「結局ここも違ったわね」

 何度目かの潜入後、中々出ない成果に肩を落とす。そんな時は陛下からの文を読み返し、気持ちを奮い立たせた。

「闇商人は手ごわい相手ですね。ここで収穫がなかったのは残念ですが、次に期待しましょう」
「そうね、陛下も王宮で頑張っておいでですものね。私も頑張るわ」

 そう言って王都の方角に視線を移すと、陛下との幸せな日々の記憶が蘇る。少し寂しさが募るが、そっと陛下からの文を握り決意を新たにした。
(陛下……もうあの頃には戻れませんが、遠く離れていても私はずっと貴方の味方です)

 
 更に時が過ぎ、ようやく蓉州の長官の屋敷で闇商人の手がかりを掴んだ。長官と客人の会話を、掃除をする振りをしながら盗み聞く。
 その内容は悪評を流し、民の不信感も高め、狼陛下を失脚させるというものだった。その為王宮のある大臣とも密約を交わしているとか。
 もう少し情報を得たかったが、長時間は危険と判断した隠密に連れられその屋敷を後にした。

「これだけ分かれば後はどうやって陛下に内緒で情報を探るかね」
「それについては私に案があります。お妃様にしか出来ないことですから、よく聞いてくださいね――」

 数日後、夕鈴と協力者達は王都に戻っていた。
 夕鈴は王宮で信頼できる官吏の屋敷に忍び込み、仲間に引き入れる。それは陛下の為に奔走し、協力者を増やしていった夕鈴にしか出来ないことだった。
 官吏の協力の下、闇商人と大臣が妓館で密会との情報を手に入れることが出来た。


「本当に行かれるのですか?」
「ここまで来て留守番など出来ません! 妓館といえば女の私の出番でしょう」

 妓女に扮した夕鈴は、クルクルと建物中を駆け回る。ようやく見付けた密会部屋を、仲間に伝えると内緒で見張りに戻った。
 特に動きの無いまま数刻を過ぎ、タイミングを見計らっていた皆が部屋に雪崩れ込む。直後に女の悲鳴と陶器の割れる音などが響き出し妓女は部屋から逃げ出してきた。

「中はどうなっているのかしら」

 夕鈴は少し離れた所から見守っていたが、様子が知りたくて少しだけと近付く。すると突然部屋から飛び出してきた男に捕まってしまった。

「動くな!」

 後ろ手に掴まれ、首筋に刃物が当たる。追ってきた仲間はピタリと動きを止め、無念の表情を浮かべていた。
 そのまま男は少しずつ夕鈴を盾にし距離をとる。本当は安全な場所に避難しなくてはならなかったのに、言うことを聞かなかった自分を悔やんだ。
(もう少しだったのに……。だけどここで諦めるわけにはいかない)

 夕鈴は刃物に恐怖しながらも、陛下を想い自らを奮い立たせる。他の皆は隙をうかがい緊張感が漂っていた。この空気の中、夕鈴は思い切って男の足を踏みつける。

「ぎゃあっ」

 男は悲鳴をあげると手を離し、突然開放された夕鈴はその場に倒れこんだ。男は逆上し、すぐさま刃物を振り上げ夕鈴はギュッと目を瞑る。
 斬られるとおもった瞬間、刀のぶつかる音が響き体は温かな腕に包まれていた。
 覚えのあるその匂いと感触にそっと目を開けると、やはりそれは陛下の腕だった。

「夕鈴。危ない所だった……」

 そう言いながら振り返った陛下は、驚いた顔をして夕鈴を凝視する。その瞳はみるみるうちに怒りに燃えていき、ゆらりと立ち上がると闇商人に向き直った。

「夕鈴に傷をつけるとは、よほど命が惜しくないようだな。ああ……先程も剣を振り上げていたな」

 闇商人に剣を向け、ククっと笑う姿は誰もが恐れる冷酷非情の狼陛下だった。剣を向け闇商人に近付いていく陛下に、声をかけられるものは居ない。
 夕鈴はその様子を眺め首に手を当てると、濡れた感触があり見ると手は血で赤く染まっていた。逃れる為に足を踏んだときに当たったのだろうか。

「覚悟はいいか?」

 陛下が剣を振り上げる様を、誰もが固唾を呑んで見守っていた。
 闇商人も覚悟を決めたようで、目を固く瞑った所で女の声が響く。

「駄目です!」

 今にも振り下ろそうとしていた剣はピタリと止まり、陛下の背には夕鈴がしがみついていた。

「怒りに任せて人を斬るなどいけません。そのような人に誰がついて行こうと思いますか? 私は大丈夫ですから剣を収めてください」

 夕鈴は恐怖に体を震わせながらも、懸命に陛下を諫める。
 陛下は少し考える様子を見せ、やがてため息をつき剣を仕舞った。

「君にそう言われては仕方ない。皆、この者達を連れて行け!」

 夕鈴には笑顔を見せ、鋭い目つきで皆に指示を出す。黒幕が捕らえられる様子を確認すると、陛下は夕鈴を抱え王宮へと連れ帰った。



「夕鈴」
「な……、何でしょう?」

 夕鈴が後宮に連行されてから、陛下はすぐに後始末の為に王宮に篭りっきりとなった。
 それから数日が経ったある日。後宮の一室で夕鈴は陛下の腕に捕らわれていた。
 逃げないようにしっかりと抱きしめ、間近で名前を囁く。その為夕鈴の胸は痛い位高鳴っていた。

「あの時は君を危険な目にあわせまいと、君の退宮の申し出を受け入れた。だけどそれは失敗だったと気付いたよ」
「何故ですか?」

 疑問を投げ掛ける夕鈴に、陛下は微笑み続ける。

「遠く離れていても、私の為にと危険を犯す君を放っておけない。それにあの場面で私を止めに入る者など中々居ない。やはり私には君が必要だ。君が傍に居てくれたら、私は私で居られる。もう離れるなど言わないで、ずっと傍に居て欲しい」
「本当に、私が傍にいていいんですか……?」
「もちろん。もう誰にも文句は言わせない」

 思わず問い返したが、本当は文に綴られた言葉で陛下の気持ちに気付いていた。だけど今までは陛下の為になれない妃では駄目だと、自分の気持ちに蓋をし陛下の想いも気付かないふりをした。
 それが今回の件で、陛下の役に立てる事が分かって自信がもてた。その上で陛下に求められ、否など言えるはずも無い。

「私も……本当はずっとお傍に居たかったですっ」

 夕鈴は涙を流し陛下に抱きつき、二人はそのまま熱い抱擁を交し合った――



「夕鈴またこんなの読んでるの?」
「えっ」

 夕鈴は後宮の自室で机に向かい、李順から渡された文の書き方の教本を熟読していた。そこで不意に聞こえた陛下の声に驚き振り返る。
 そこにはこの間紅珠に渡された新作の巻物を手にした陛下が立っていた。

「へっ陛下っ! いつからそこにいらしたんですか?」
「結構前からいたけど、夕鈴が熱心に勉強しているようだったからこれを読んでいたんだ」

 自分一人で読む分には、陛下の本音を教えてもらったあの時の幸せな気持ちを思い出せるからよかった。だけど自分達がモデルのこの話を陛下に読まれるのは恥ずかしい。

「この間紅珠が新作を持ってきてくれたので……」

 夕鈴は顔を真っ赤に染め、ここはどう切り抜けようかと考えを巡らせる。そんな夕鈴を陛下は腕に抱き椅子に連れて行くと膝に乗せた。

「やっと持てた二人の時間を勉強で終わられるのは寂しいな……」
「え、あの……」

 寂しそうにションボリする陛下を見て、ここはどうすればいいだろうかと夕鈴は考える。
(この間はこの本を読んで文を書き喜ばれたんだから……そうだ、恥ずかしいけどこれがいいわ)

「陛下。私は愛する貴方が傍に居てくれるだけで幸せです。だから、ずっと一緒に居てくださいね」

 それは物語の最後に書かれていた夕鈴からの求婚の台詞。本音でもあるそれを言ったことで、羞恥に身悶えていたが、陛下の反応が無いことに気づいた。
 これでは駄目だったのだろうかと、顔を上げると頬を染めた陛下が更にきつく抱きしめる。

「夕鈴を離すはずなど無い」

 嬉しそうな陛下に、夕鈴も良かったと微笑み返した。


おわり

 


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みね様
いらっしゃいませ~コメントありがとうございます (*´-`*)

最近中々更新できませんがこの時は頑張りました!
本当は恋人の日も書きたかったんですが、宿題が増えて他の書いてたら怒られそうでやめました(´・ω・`;)

その辺りは書き直した所ですので、そういってもらえて嬉しいです!
みねさんの新シリーズ隠密夕鈴好きなので、続きも楽しみにしています(*゚▽゚)ノ
あ、でも現パロのほうも続き読みたいです!
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みね様
またまたありがとうございます♪

みねさんはお疲れ様です!
(本当にみねさんの更新ペース見習いたいですね)
私はゆっくり寝たので頑張りたいなと思います。

あちらの方も楽しみですよね~ (*´-`*)

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みね様
読み手としては更新早いのは嬉しいので、今のままでお願いします(o^^o)
ただ更新速度が早くてすごいなって思っただけですから!
続き楽しみに待ってますよ〜♪

あっという間に月日が過ぎますもんね〜最近早過ぎて困ってます(ー ー;)
まだ途中なのにもう6月の後半に…
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みね様
もう更新ですかΣ(゚д゚|||)
早速読みに行って来ます~♪

ってかはやい!
私まだ三分の一くらいしか…がんばります><
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みね様
いいですよ~続き気になるところ位でとめてた方が (*´-`*)

いえいえ大丈夫です!次の更新を楽しみにしています!
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みね様
おー最後なんですね(o^^o)
楽しみにしています!全然出してもらっても大丈夫ですよ〜♪
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みね様
それはどちらも楽しみです!
待ってます〜(o^^o)
 


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