夢見草に魅せられて
こんばんは〜(≧∀≦)

先月頂いたさり奈様のリクやっと書きあがりましたので、ここにアップさせてもらいます!
睡魔に負け続け、もう桜の時期は過ぎてしまいましたが(・・;)

リクが桜の出てくるミステリアスな感じという事でしたのでこうなりました。

こんな感じでいかがでしょうか?


設定はかなりふんわりですが、大会社の社長の黎翔さんと一般家庭で育った夕鈴が婚約した少し後
くらいのお話です。



「これが噂のかごめ桜……」

 大きな枝垂れ桜の前に立ち一人呟く。
 とぼとぼと夜道を歩きたどり着いたのは、ライトアップされた一本の桜だった。
 その優麗な姿を一目見ようと、夜でも多くの見物客がひしめき合う。
 夕鈴は風に揺れる桜の枝を眺めながら考え続けていた。
(やっぱり私じゃ駄目だったのかな……)

 その時少し強めの風が吹き、枝垂れた枝が激しく揺れ動く。
 思わず閉じた目を開くと、そこには見慣れない風景が広がっていた。

「ここは……?」

 先程までは辺りは暗く、ライトで明るく照らされていたはず。
 だけど今目の前の光景はどう見ても昼間で、目の前の桜は枝垂れてもいない。


「夕鈴」

 戸惑っているとふいに名前を呼ばれ、ビクリと肩が震える。
 今はどうしていいか分からなくて、振り返るのを躊躇した。
 
「陛下! お忙しいのではないですか?」

 すぐ傍で自分に似た声が聞こえ驚き、声のした方に視線を向ける。
 そこには変わった衣装を身に纏った自分そっくりの女と、どこか威厳を感じさせる彼に似た男が立っていた。
 

「休憩だ。それより我が妃はここで花に見とれていたのか?」
「隣国との親善交流が上手くいきますように、邪気払いをしようと思いまして」

 そう言って笑顔を見せる女を、男は軽々抱え上げる。

「君は傍にいてくれるだけでいい」
「もう、そんな事言わないでください! 私は陛下の為に出来る事はやりたいんです!」

 女が抱えられたまま頬を膨らませると、男は嬉しそうに笑顔を見せていた。
 
「君は本当に、私想いの妃だな」
「当たり前じゃないですか」

 何を言ってるんですかと怒りだした女と、それを宥める男のやりとりをじっと眺める。
 すぐ傍に立っているのに二人の目には自分は映っていないようだ。
 目の前で繰り広げられる仲睦まじい二人に、自分達の姿が重なる――


「黎翔さん。お弁当作ってきたから、お花見しながら食べましょ。外食ばかりだと体に悪いですよ」
「夕鈴の手作りか、それは嬉しいな」

 高級な食事に慣れているだろう彼に、自分の庶民料理を出すのは気が引けた。
 だけど不規則な生活の彼の体調が気になって、たまにはと初めてお弁当を作って行った時は、本当に嬉しそうに食べてくれた。

(その数ヵ月後、高級レストランでプロポーズされたのよね)

 そのときの事を思い出し頬が緩む。
 ふと気づけば目の前にいた二人の側に、眼鏡をかけ長い髪を一つに束ねた男が立っていた。

「陛下! そろそろお戻り下さい。今は休憩などしている場合ではありません」

 目くじらをたてる男を見て、二人は顔を見合わせクスリと笑う。

「お仕事頑張って下さいませ。お戻りをお待ちしています」
「仕方ない君を愛でるのは、夜の楽しみとしておこう」

 途端に真っ赤になった女に優しい眼差しを向け、男達は去って行った。

「よし、私も妃として出来る事を頑張らなくちゃ」

 女も気合を入れると建物の方に向かって歩き出す。

「そうか、これは夢ね……」

 その後ろ姿を見送りながら、納得するように呟いた。
 次の瞬間。突然視界が歪み、目の前が暗転する。気がつけば今度は散りかけの花の側に立っていた。
 すぐ横には走ってきたのか息を切らしている女の姿があり、その横顔は今にも泣き出しそうに見える。

「大……丈夫。まだ……」
「夕鈴……」

 女が微かに呟くと後ろから聞き慣れた声が聞こえ、女の肩がビクリと揺れる。
 豪華な衣装を着た男に、女はゆっくりと振り返りその顔は微笑をたたえていた。

「どうかされました?」
「ごめん……不安にさせて」

 何事も無いように返す女に、男は謝りギュッと抱きしめる。
 その腕の中でも、女は笑顔を崩さなかった。

「大丈夫です! 気にしないで下さい。それより早く戻らないと李順さんに叱られますよ」

 少し強めに言うと女はそっと背を押し、こちらに向かってくる鬼の形相の男に引き渡している。

「ほら、早く戻ってください」
「夕鈴。何があっても私が傍に居て欲しいのは君だけだ」
「はい、陛下を信じています」

 そう言って二人の男を見送った女の瞳には、強い意志が読み取れた。

「もっとあの人の役に立ちたい。その為に強くなるから……浩大も協力してね」
「りょーかい」

 いつの間にか木の上にいた小柄な男が地面に降り立つ。

「一先ず護身術でも教えてくれる?」
「えっ! それは俺が叱られるから勘弁してよ」
「冗談よ」

 クスクス笑いながら女は小柄な男を従え歩いて行った。
 
 その光景は自分にとって衝撃だった――


「夕鈴は傍に居てくれるだけでいいから」

 いつも私を甘やかそうとする彼に、甘えないよう気をつけていたつもりだった。
 だけど実際はどこか甘えていたと思う。
 大会社の社長と一般人の関係なんて上手くいくはずなんか無いと思っていたのに……。
 彼からプロポーズされて、ただ舞い上がっていた。

「今度の土曜は取引先の社長との食事が入って……ゴメン」
「お仕事だから仕方ないですよ」

 そう言って笑顔で見送った。
 それは本心でもあったけど、早く切り上げて帰ってきてくれる。そんな期待もどこかにあったと思う。
 だから当日突然の秘書からの連絡に、迷う事無く迎えの車に乗った。

 着いた先のホテルで見たのは、綺麗な女の人を優しくエスコートする彼の姿だった。
 そこにいるのは、金も地位もある彼に相応しい高貴な女性。
 自分は黎翔さんの隣にふさわしく無いと、駄目だしされた気がして……思わず駆け出した。


「あそこで逃げては駄目だったのよ。きっと彼の事だから事情があったはずよ」

 まさか夢の中でその事に気付かされるなんて思わなかった。
 ただ目覚めた時、この気持ちを覚えていられるのだろうか。
 そう考えたとき、散りかけの花が最後の力を振り絞るように風に舞った。


 気付けばライトアップされたかごめ桜の前に立っていた。
 何故ここにいるのか思い出せない。
 おぼつかない記憶をたどっていると、ライトアップも終わり明かりが落とされる。
 (そうだ私……)
 辺りが暗くなると少しずつ思い出される記憶。
 
 それは――
 今夜は取引先との食事と言って出て行った彼。
 それを信じて送り出した私に、突然夜に秘書の李順さんから呼び出しが入った。
 慌てて指定されたホテルにたどり着いた時、彼が綺麗な女の人をエスコートしてる姿を目撃する。
 その瞬間。目の前が真っ暗になって、無意識に一緒に来る約束をしていたかごめ桜に足を向けていた。
  ――筈だったが、今はただ彼を信じる前向きな気持ちしか沸いてこない。
 不思議な感覚に陥っていると、ほとんどの見物客はいなくなっていた。
(帰って彼と話さなきゃ)
 一先ず帰ろうと思った時。突然後ろから抱きしめられ、暗がりの中での出来事に心臓が跳ねた。
 だけどそれは恐怖からではなく、愛しいあの人の匂いとその腕の感触だったから。

「夕鈴、急にいなくなったら心配するだろう」
「ごめんなさい……」

 私を抱きしめる腕に力が入る。その腕に手を沿え、振り返った。

「大丈夫です。私はあの時貴方と一緒に歩むと決めたんでした。もう逃げません」

 微かに見えた彼の顔がとても寂しそうに見えて、再びの決意を口にする。

「私も内緒にしてすまなかった。あれは君を守る為だったんだ」
「いいですよ。そんなに気にしなくても、私の覚悟も足りませんでしたから」

 シュンと子犬のように肩を落とす彼を抱きしめ、これから訪れる未来の誓いを立てた。

「これからはもっと貴方を支えられるように努力します。だから、ずっと傍に居させてください」
「当たり前だ。私の妻は君だけだよ」

 人々が夫婦円満を祈願するかごめ桜の前で、暫し二人は口づけを交し合う。


「李順さん、あんな事して後が大変なんじゃね?」
「それは覚悟の上ですよ。なんの覚悟もないまま社長に嫁がれても困りますんでね」

 二人を遠巻きに眺めながら、李順は眉間にしわを寄せる。

「まあ、あの様子なら大丈夫なんじゃね?」
「そうだといいですがね」

 浩大は一人楽しそうに笑い、その様子を見て李順はため息を漏らした。

「まあ。もう二人の世界に入ってるしさ、飲みに行こうぜ」
「そうですね。どうせ今日は仕事にならないでしょうからね」

 仲睦まじい様子の二人を残し、男二人で夜の街へと消えて行った。


おわり
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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(非公開コメント受付中)

No title
うふふ。素敵なお話ありがとうございます♪(o^^o)
李順さーん!策士め!
でも夕鈴が前向きになれてよかった。前世…だったのかな?なんて色々想像してしまいます。期待通りのロマンスをありがとうございました❤︎
さり奈様
コメントありがとうございます!
さり奈さんにそう言って頂けて安心しました(o^^o)

どこまで書こうかなって思って、想像してもらえる程度に説明を省かせてもらいました(*^^*)
 


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