梅の香の便り
こんばんは~ (*´-`*)

今日はリンクもさせて頂いている素敵書き手様の時盗人のnovelloさんに贈らせて貰ったSSを持って来ました(o´▽`o)v

なんだか自分でハードル上げてしまってドキドキでした(´・ω・`;)
でも公開許可を頂きましたので公開させてもらいます!

よろしければどうぞ~

※本物夫婦設定
※未来捏造




 まだまだ寒い日が続くある日。
 夕鈴は他国の視察団のおもてなしの為、いつもより着飾られ女官と共に王宮へと向かう。妃時代から何度も経験してきた宴での立ち振る舞いは、正妃になった今では李順にも褒められるほどのものになっていた。
 回廊を歩いていると、夕鈴はほのかに甘い香りを感じ足を止める。香りの元を探し視線を向けると、すぐ傍には梅の木がありポツポツと花をつけていた。

「もう梅の花の咲く季節なのね」
「寒い日が続きますが、梅の花を見ると春の訪れを感じますね」

 梅花を見た夕鈴は、無意識に呟く。女官達も花に目を向け、その丸く可愛らしい姿と香りに表情を綻ばせた。
 夕鈴は梅の木を見つめたままその場に佇むと、後宮に戻ってきてから何度目の春だろうかと考えていた。

 そう、あの日も梅の咲き始めた寒い日だった――

『姉さんの人生は姉さんのものなんだからね。好きにしていいんだよ』
 そう言って送り出してくれた弟の青慎に、二度と会えない覚悟で下町を離れた。何度も振り返り、手を振って別れたあの日。あれから季節は巡り、私は立后し正妃になって子宝にも恵まれた。

 青慎の誕生日や節目の日には必ず手紙を綴る。だけど何処から情報が漏れるか分からない今は、迷惑を掛けてはいけないと送る事はなかった。
 もしも青慎が官吏になり奇跡の再会を果たす事が出来た時は、きっと泣いてしまって会話なんて出来ないだろうから。その時の為にと書いた手紙は箱に入れ、後宮の奥へと持って行き仕舞いこんでいた。青慎なら庶民出身の官吏が政務室に配属という、偉業を成し遂げる事が出来る。ただそれだけを信じていた。

 少し前に青慎が科挙に合格したと聞いた時は、飛び上がるほど嬉しくてすぐに筆を取った。

 青慎おめでとう、姉さんはいつでもあなたを信じて応援してるからね――


「正妃様、そろそろ向かわれませんとお客様がお待ちです」
「ええ、行きましょう」

 女官に声を掛けられ我に返った夕鈴は、優雅に微笑むと王宮に向かい再び歩き始めた。



 季節は巡り、再び後宮の庭に植えられた梅は花をつける。
 暖かな日差しのある日は、夕鈴は初夏に産まれた太子を腕に抱き庭に下りた。人払いを済ませ、満開の梅の花を見せながら太子に語りかけた。

「良い匂いね。あなたの叔父はとても努力家なのよ。今は春を感じる暇もなく頑張ってるだろうから、いつか紹介するからね。とても良い子なのよ、昔ね……」

 夕鈴はまだ喋れない我が子に青慎との思い出を語り始め、太子はただ嬉しそうな母の顔を見て笑顔になる。

「赤子にそんなに語っても分らないだろーね」

 浩大は一人木の上で苦笑し、自分がいるからと安心して話しているであろう夕鈴を見守っていた。



 太子が活発に動き出した頃。
 夕鈴は李順から呼び出され、太子を預け王宮へと足を運んでいた。途中梅の木に目を向けると、蕾が膨らみ始めているのに気付く。そろそろ青慎の努力が花開く頃だろうかと考えながら通り過ぎた。

「李順さん、お呼びですか?」

 案内された部屋には入り口に背を向けた官吏が一人立つ。
 夕鈴は李順では無い男の姿に警戒するが、何処か懐かしさを感じる背中から目が離せなかった。

「姉さん……」

 ゆっくりと振り返った官吏は、それだけ言うと目に涙を浮かべてこちらを見つめていた。
 その官吏はあの頃の面影を残しながらも、立派な青年になった青慎だった。夕鈴は夢だろうかと自分の頬を抓ると痛みを感じ、夢では無いと実感する。

「姉さん、何やってるの?」
「青慎……っ」

 そう言って涙目で笑う顔は昔と何も変わらなくて、夕鈴は慌てて駆け寄り青慎の胸に飛び込んだ。その体は細くても青年のそれで……夕鈴は青慎の成長を実感しながらただ泣き続けていた。


「姉さん。そろそろ泣き止まないとその顔で戻れないでしょ? 後ねあまり時間が無いからさ、その前に渡したいものがあるんだ」

 青慎はそっと体を離すと脇に置いていた小箱を持つと、泣き続ける夕鈴に手渡す。夕鈴はそれを受け取り蓋を開けると、中には沢山の手紙が綺麗に詰められていた。

「全く音沙汰の無い姉さんに、いつか再会出来ることがあったら渡そうと思ってたんだ」
「青慎……姉さんも書いてたのよ! 今は持って来なかったけど……待ってて」

 同じ事を考えてくれていた青慎に、夕鈴は嬉しくなり慌てて手紙を取りに行こうとする。入り口に向かおうとした時、後ろから温かいもので包まれた――


「夕鈴、こんな所で寝てたら冷えちゃうよ」
「陛下……?」

 夕鈴の目の前には優しく微笑む陛下の顔があり、青慎はどうしたのだろうかと涙で濡れた瞳で瞬きを繰り返していた。
 気付けば夕鈴は外套に包まれていて、辺りを見渡すといつもの後宮の部屋で今のは夢だと理解する。

「何故泣いてた? 腹の子も心配するよ」

 陛下は夕鈴を抱き上げ寝台に運び腰掛けると、随分と大きくなった腹に手を乗せる。するとポコポコと腹を蹴る感触があり、同意されたと感じた陛下は「ほらね」と得意げに笑った。

「良い夢を見てました……だからこれは嬉し涙です」

 その表情は陛下が子供の誕生を本当に楽しみにしているように見え、夕鈴はただ幸せを感じる。先程の夢も現実であればよかったのに……と考える夕鈴に陛下は続けた。

「そうか……それならよかった。でも、もう一度君に泣いてもらわなければならないかな」

 その言葉に何かあったのだろうかと、ドキドキしながら続きを待つが陛下は中々言おうとしない。ただその表情は穏やかで、悪い話ではなさそうだと期待を寄せた。

「陛……」
「弟君が科挙に合格したよ。しかも探花だって。凄いね」

 いつまで待っても語られずじれてきた夕鈴が口を開いた時、ようやく陛下から言葉が紡がれる。夕鈴はしばらく驚き目を見開いたまま一言も発さなかった。
 しばらく夕鈴の様子を黙って見守っていた陛下は、再び腹を蹴る感触を感じ「この子も喜んでるのかな」と声を掛けた。

「青慎……頑張ったのね。しかも探花だなんて……」

 そこで我に返った夕鈴の頬を、嬉し涙が流れ落ちる。
 ただ優しく包み込み背を擦る陛下は、今までの手紙が日の目を見る日は近そうだと感じていた。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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拍手コメ返信
くれは様
こんばんは〜コメントありがとうございます(*^o^*)

よく使う夢オチでしたが、夢も現実も幸せになりました!
二度と会えない覚悟で出てきた夕鈴は青慎に届かない手紙を綴っていたらどうなるかなあと、考えたお話でした。いつか政務室で再会して欲しいなあとか(*^^*)

それにしても入院するほどの悪阻は辛いですね( ;´Д`)
それはひどい夢見そうです(>_<)
青慎〜〜!!!。゚(゚´ω`゚)゚。
頑張ってる青慎尊過ぎる〜〜〜!!
↑先日からこんなコメントしか出てこな…(゚ω゚)
お話を読んでいて、梅の季節を迎える度に美しくなる夕鈴さんの姿が自然と浮かんで来ました✨
正妃夕鈴さん見てみたい〜(о´∀`о)💕
えぐち様
コメントありがとうございます(*^o^*)

青慎絶対頑張ってるよね。って思ってこうなりました!
ちゃんと美しくなる夕鈴の姿が浮かんだという事で一安心です(*^^*)
私も正妃夕鈴見てみたいです〜(*≧∀≦*)
漠然としたリクエストにこんなにも素敵なお話で応えて下さいましてありがとうございます!

先日、スーパーで、もう桜パッケージの商品を見まして。
「梅の存在も思い出してあげて!」
と、なってしまいました(笑)

陛下と夕鈴には、梅の花がよく似合っていると思います。
原作でも正妃立后や青慎の出仕が見れると嬉しいですよね♪
novello様
こんばんは!コメントありがとうございます(*^o^*)

のべさんにそう言ってもらえると嬉しいです!
梅も可愛い花が咲くのに忘れられがちですよね。桜がメインになってて。
何もない寒い時期に見られる癒しの花なのに( ;´Д`)

本当に原作でも読みたいですよね〜(o^^o)
麗しき姉弟愛!!
いつか本誌でも再会が描かれるのかしら?
夕鈴の夢が正夢になる日も近いですね!

素敵なお話、おこぼれごちでした!
まんまるこ様
コメントありがとうございます(*^o^*)

本誌でも夕鈴の夢が正夢になることを願いながらカキカキしました!
素敵といってもらえて嬉しいです(*≧∀≦*)
 


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