籠の鳥は鳥なりに
こんばんはー (*´-`*)

少し空いてしまいましたが、今日もSNSの方で書かせてもらいましたBDリクの転載です。

お待たせしているキリリクを次は書こうと思ってるんですが、今週末は会社の研修旅行&レポートがあるんでした( ;´Д`)
今日明日で書ければいいなー。

このお話のほうなんですが、本物夫婦で陛下のヤキモチとイチャイチャという事でした。
いろいろ悩んで原作のお話となりました。

※オリキャラ出ますのでokな方はどうぞ〜(*^o^*)
 夕鈴は本物の妃になってからというもの妃修行に追われ、毎日があっという間に過ぎて行く。そんな中、最近政務の落ち着いてきた陛下と、共に過ごす時間も増えてきた。

 そんなある日の晩。何時ものようにお茶を入れ、お菓子を楽しんでいると突然陛下に問いかけられた。

「夕鈴、妃修行に疲れてない?」
「え、まあ疲れてないとは言えませんけど……」

 本物になってからというもの掃除も出来なくなり、忙しさからストレスや疲れも溜まっていた。その為に夕鈴はポロリと本音を漏らす。

「では疲れてるお嫁さんを早く休ませてあげないとね」
「陛下の方がお疲れでしょう。それなら早く休みましょうか」

 手早く茶器を片付けようとする夕鈴を陛下は素早く抱き上げると、そのまま寝台へと運んで行った。


「夕鈴……夕鈴……」

 静かな部屋に微かに聞こえる囁き声と、寝台のギシギシと軋む音が響く。

「ん……へ……いか…?」

 夕鈴はゆっくりと目を開くと、まだ寝ぼけているようでボーっとしていた。陛下はそんな夕鈴を抱き起こすと、衣装を手渡す。

「起きてこれに着替えてね」

 夕鈴は目の前に差し出された衣装をただ見つめていた。中々着替えようとしない為、陛下は夕鈴の腰紐に手を掛ける。

「自分で着替えられぬなら、着替えさせようか?」

 そう言って妖艶に笑う陛下が紐を引くと、一瞬で目覚めた夕鈴が陛下を制止した。

「だっ大丈夫ですから! 自分で着替えます」

 夕鈴が用意された衣装に着替えている間に、陛下はお忍び衣装に着替える。

「では行こうか」

 まだ夜も開けきらない時間に、二人はそっと後宮から抜け出した。



「キレーですね」
「うん、これを見せたくてね」

 ヒンヤリとした朝の空気の中、二人は町外れの丘の上に佇み昇り始めた太陽を眺める。夕鈴は目の前の景色を、朱に染めていく朝焼けに見惚れていた。
 やがて太陽は完全に顔を出す。そこで夕鈴は思い出したように口を開いた。

「そういえば政務の方は良かったんですか?」
「大丈夫だよ。李順には話付けてきたからね。今日は下町で羽を伸ばしてもらうつもりで連れて来たんだ」

 陛下は心配そうに見上げる夕鈴の頭をそっと撫でると、安心させるように笑顔を向ける。李順の承認済みという事で、夕鈴はホッと安堵のため息をついた。

「てっきりコッソリ抜け出して来たのかと思っちゃいました」

 そういって笑う夕鈴に微笑んでいた陛下は、夕鈴が下町に目を向けた瞬間。チラリと森の方に鋭い視線を向けた。

「陛下?」
「いや、何でもないよ。そろそろ朝市を見に行こうか」

 様子の変化を感じた夕鈴が声を掛けると、陛下は直ぐに子犬の表情を浮かべ誤魔化すように町へと促す。二人は仲良く手を繋ぐと、朝市で賑わっているであろう下町に向かった。


 乾隴から少し離れた町の、活気のある朝市を見て回る。彼方此方で値下げ交渉が聞こえてきて、夕鈴は主婦の血が騒いでいた。

「おばさん、これもう少し安くならない?」
「悪いけどうちも商売だから、もう無理だね」

 そんな時に耳に入ったやり取りに、夕鈴の足が止まった。声がした方に目を向けると、紅珠と同じ位の年頃の娘が値下げ交渉をしているところだった。
(甘いわ、交渉の仕方がなってないのよ。そういう時はねっ……て教えてあげたいけど、今はお忍び目立つことはできないわ)

 夕鈴がそんなことを考えながらウズウズしていると、それに気づいた陛下は優しく声を掛けた。

「いいよ。少し位なら目立っても大丈夫だから、好きなようにしていいよ」
「でも……」

 ためらう夕鈴の背をそっと押す陛下に、夕鈴は少しだけ甘える事にし、その露店にスタスタと歩み寄る。

「わー、こんなに立派な大根初めて見たわ! おばさんは何時もこの大根を食べてるんですよね」
「まあ、そうだねえ」

 夕鈴は大根を手に取り店主に話しかけ始めた。交渉中に突然横から話しかけられ、店主は驚きながらも返事を返す。

「これを食べてたら、おばさんみたいにキレイになれるかなあ。でも、この値段じゃ今日の予算に合わなくて買えないわ」

 本当に残念そうに大根を置き歩き去ろうとする夕鈴を見て、店主は慌てて引き止めた。

「待ちな! 今回だけ値引いてやるよ」
「本当? ありがとうおばさん! それならついでにこの子のも割引してあげて下さい」

 満面の笑みでお礼を言うと、隣で呆気にとられている少女の値引もお願いする。

「仕方ないね。その代わりうちの宣伝しておくれよ」
「もちろん!」

 店主は少し悩むそぶりを見せたが、二人の大根を値引いてくれた。



「あ、あのありがとうございます。助かりました」

 店から少し離れた所で、夕鈴はさっきの少女に声を掛けられていた。その莉鈴と名乗る少女は最近母を亡くしたばかりで、まだ幼い弟も抱えて慣れない家事に日々奮闘しているという事だった。自分に似た境遇の莉琳の力になりたくて、気付けば誘いを掛けていた。

「じゃあ、私が値切り方を伝授するわ! 一緒に回りましょ? 私は夕鈴。そしてこちらは私の旦那様の李翔さん宜しくね」

 李翔は本当は二人で回りたかったが、旦那様と紹介された事でまあいいかと思うほどに内心喜んでいた。

「宜しくお願いします。でも、本当にいいんですか? 旦那さんとお買い物中だったんじゃないですか?」

 莉琳が李翔にチラリと視線を向けると、ニコリと微笑まれ慌てて目を逸らす。夕鈴は気にしないでと莉琳の背を押し、変わらず賑わう朝市を共に回った。
 


「ここです。大したものはありませんが」

 沢山お得な買い物をさせる事が出来て、満足した夕鈴は莉琳に別れを告げる。
 すると何かお礼をと言われ遠慮したが、断りきれなかった。

「では早速台所借りるわね」
「はい! 何をしましょうか」

 それなら買った野菜の処分に困るからと台所を借りる事になり、夕鈴と莉琳は二人仲良く料理を始める。
 すっかり意気投合した二人の邪魔をしないようにと、李翔はそっと庭に出た。

「李順の差し金か?」
「それより折角のデートなのに放って置かれてるジャン」

 庭で小さく声を掛けると、何処からか浩大が現れる。ニヤニヤと楽しそうに笑う浩大にチラリと視線を向けると、そのまま続けた。

「デートだと分かってるなら後をついて来るな。夕鈴は自分に境遇が似ている娘を放って置けなかったんだろう」
「お妃ちゃんだしな。あ、それより李順さんが怒り狂ってるみたいだぜ。置き手紙だけで出て来るからさ」

 李翔はその事はさして気にもしていない様子で冷たく浩大に告げる。

「黙って抜け出すよりはいいだろう。王宮に帰りもう少ししたら戻ると伝えておけ」
「はいよー」

 返事と共に浩大の姿が消える。李翔は少し辺りを見回し、家の中に戻る為入り口に回る。するとそこで後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

「お前! なんでここに居るんだ」
「やあ、久しぶりだね。金貸し君」

 ニッコリ笑って振り返る李翔に、几鍔は掴みかからんばかりの勢いで続ける。

「夕鈴はどうした! 次は莉琳か! こいつも夕鈴と同じで苦労人なんだ。お前が弄んでいい奴じゃない!」
「人聞きが悪いなあ。別に夕鈴を弄んだりしてないけど?」

 そんな几鍔の言葉を聞きながら、夕鈴が心配なのだろうと思っていた。

「几鍔! 何でここに居るのよ!!」

 少しすると奥からバタバタと音が聞こえ、夕鈴が走って来ると几鍔に向かい叫ぶ。

「几鍔さん、どうかされました? 皆さんお知り合いなら中にどうぞ。ここでは近所迷惑になりますから」

 少し遅れて莉琳も出て来ると、外で騒ぐ二人を見て家の中に誘導した。夕鈴は冷静になって辺りを見回すと、近所の人の注目を集めており慌てて家の中へと入った。

「几鍔さんは言いがかりをつけられて、困ってる私を助けてくれた恩人なんです」
「たまたまこっちに用があってな、歩いてたら絡まれてるもんで放って置けないしな」

 几鍔は頭を掻きながら、照れ臭そうに視線を逸らす。莉琳はそんな几鍔の姿を見て、嬉しそうな表情を浮かべていた。それを見てピンと来た夕鈴は、どうにか二人をくっつけようと算段をする。

「几鍔。暇ならこれから肉饅頭包むから、手伝いなさいよ」
「まあ、それは良いが……昔お前と包んで以来だがいいか?」
「懐かしいわね。でも、今日は莉琳さんに教えてもらって包んでね。私は他の物作るから」

 四人で台所に戻ると莉琳と几顎は仲良く肉饅頭包みを始め、夕鈴は他の料理を始める。そんな中李翔だけは何もする事がなく、暇を持て余していた。

「夕鈴、僕も何か手伝うことある?」
「李翔さんに手伝ってもらう事はありませんから、座って待ってて下さいね」

 莉琳と几鍔の様に一緒に作るわけでもなく、途中から放って置かれっぱなしの李翔は不満が溜まっていく。
 隣に目を向けると楽しそうな二人の姿が見え、李翔は目の前で真剣に料理する夕鈴を抱きしめた。

「きゃっ。包丁持ってるのに危ないですよ!」
「夕鈴はさ、僕を放って置きすぎだと思うんだけど。金貸し君や莉琳の方が大事?」
「そっそんな事あるわけないですよ! ただ放っておけなかっただけですから」

 驚く夕鈴から包丁を奪い台に置き、耳元で囁くと二人だけではないんですからと夕鈴が暴れだす。だが李翔はしっかりと抱き締め離そうとしなかった。そんな夫婦の攻防に気付いた几鍔は声を掛ける。

「おい! 何してんだ」

 李翔は几鍔の声などまるで聞こえていないかのように、返事をすることも無く夕鈴に囁き続けていた。

「どうしたら君は僕だけを見つめてくれる?」
「こっこれからは構い倒しますからっ」
「ほんと!?」

 だから今は離してという夕鈴に、嬉しそうな李翔。その二人の仲睦まじい様子を、莉琳は微笑み几鍔は呆れたような顔で見つめていた。当の本人達は視線には気付かない様子で、じゃあこれを手伝ってくださいねと言いながら二人仲良く料理を始めていた。
 几鍔は以前感じていた李翔の胡散臭さが和らぎ、二人の仲の雰囲気が以前とは違う事に気付く。何かあったのだろうかと考えていると、莉琳がふと漏らした言葉を聞き納得した。

「ふふっ仲の良いご夫婦で羨ましい」

(ああ、また居なくなったと思ったらそういう事か……)
 几鍔は幸せそうな二人の姿を見て、安心したように表情を緩めた。



「几鍔。私達はそろそろ帰らないといけないから、これ青慎に届けておいて欲しいの」
「会っていかなくて良いのか?」

 夕鈴は作った料理の包みを、そっと差し出すと几鍔はそれを受け取る。

「うん、会えないから。でも几鍔や下町の皆がいるから心配してないわ。これからも青慎の事よろしくね」
「ああ。お前も元気でな」

 二人は少しの間見詰め合う。すると夕鈴は腕を引かれ、李翔の腕の中に納まった。

「じゃあね金貸し君」
「おい、絶対にそいつを泣かすなよな!」

 几鍔のその言葉に、李翔はニヤリと笑い莉琳に視線を向けた。

「それは大丈夫だ。金貸し君こそ、その子を大事にしなよ」

 その言葉に几鍔と莉琳は頬を染め、恥ずかしそうな様子を見せている。

「じゃあ帰ろうか、夕鈴」
「はいっ」

 李翔は優しい笑みを浮かべ手を差し伸べる。夕鈴はその手を取ると、共に王宮に向かい歩き出した。



「夕鈴……」
「陛下……」

 人払いのされた後宮の一室で二人は向かい合い、陛下はジリジリと距離を詰め夕鈴は後ずさっていた。
 後宮に戻るなりくっついて離れない陛下に、衣装を着替えるからと何とか離してもらう。衣装を着替えて戻ると陛下が待ち構えていて今の状態になっていた。

「最後に金貸し君と見つめ合ったりして。君の夫は心が狭いというのを忘れた? それに構い倒すって約束だったのに……君は逃げるんだね」

 兎を追い詰める狼から子犬に変わった陛下に、夕鈴は約束だからと観念し膝抱っこをされることになる。

「本当に青慎君に会わなくてよかった? たまには夕鈴が羽伸ばせるようにって下町に下りたのに」
「いいんです。もう会えない覚悟で陛下に嫁いだんですから」

 膝の上に抱かれたまま笑顔で答えた夕鈴が、一瞬寂しそうな表情を浮かべたのを陛下は見逃さなかった。

「ここだとお嫁さん独り占めできるけど、夕鈴は本当はこんなとこより下町の方が良かったよね。もう離せなくてごめんね」

 夕鈴はしょんぼりと耳と尻尾を垂らした陛下を抱きしめると語りかける。

「陛下こそお忘れになったんですか? 私は貴方がいるのならどこでもいいと言ったんですよ。二度と下町に戻れなくても後悔はしません」

 覚えていてくださいねと言って笑う夕鈴を、強く抱きしめるとそっと口付けた――

おわり
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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