囚われし記憶に差す光
こんばんは〜(*^o^*)

今日はSNSで書かせてもらいましたBDリクの転載です!
君をの続きを書いてたのですがキリリクも頂いたのでどちらを先に書こうか悩み中(^^;)

リクが陛下の独白という事でしたのでこんな感じになりましたよろしければどうぞ〜


※原作の未来も捏造しています

 その日は雪のちらつくとても寒い日だった。
 政務も終わりに近づき、早く君に会いたいと急ぎ書簡に目を通していた時の事。

「陛下……そこまで目を通されましたら、後宮にお戻りになっても宜しいですよ」

 少し席を外していた李順が戻って来るなり、告げた言葉は何時もと何かが違う気がした。何かあったのだろうかと不安がよぎり問いかけた。

「何だ? 何かあったのか?」
「そこまで目を通されましたらお話致します」

 すると李順は、終わらせるまでは決して口を割らないといった態度を貫く。

「夕鈴の事か?」

 相変わらず返事は無いが、李順は無言で眼鏡をかけ直した。それは昔から図星を突かれた時に出る李順の癖だった。

「夕鈴がどうしたのだ!」

 尚も口を割らない李順にしびれを切らし、急いで後宮に向かう。後ろから何か叫んでいる声が聞こえたが、聞こえないふりをしてとにかく急いだ。

「お妃様は中で寝かされております。まだ意識は戻られないようです」
「何があった?」

 夕鈴の部屋の前に着くと、表に控える女官に告げられた事実。それは刺客に狙われた夕鈴が逃げる時に転び、意識を失い今も目覚めないと言うものだった。
 慌てて部屋に入ると、寝所には侍医と老師の姿があった。

「我が妃の容体はどうなのだ?」

 静かに近づき問いかけると、思わしくない返事が返ってくる。

「今は静かに眠っておられます。少し打ち所が悪かったようで、いつ目覚められるのか私共にも分かりません」

 今は様子を見るしかないと言われ、人払いをし部屋には夕鈴と自分だけになった。

「夕鈴……」

 名前を呼びそっと顔に触れると、温もりは感じるが反応はない。ただ眠るだけの君の顔を見ていると、昔の記憶が蘇ってくる。

「黎翔、今夜は月が綺麗ね。昔、賞月の宴で舞った事が懐かしいわ」

 後宮の一室で月を見上げて呟く母の背中は辛そうで、日に日に弱々しくなっていった。

「ねえ黎翔。こちらは雪が積もって寒いけれど、王宮はどうなんでしょう。陛下は体調を崩されていないかしら」

 辺境に出されてようやく息が出来たようだったが、そう呟いた母の背中は寂しそうに見えた。
 自分の知る母は最後まで幸せそうには見えなかった。

「いくら愛しく思っていても、ここではやはり父の二の舞にしかならないのか」

 だからこそ一度は手放した。けれど、私の為にと走り回る君が愛おしくて……手放せなくなって自分で守りたいと思った。
(なのにこの様か……)
 寝台の脇に座り自嘲するように笑うと、段々と心も体も冷えていく気がする。夕鈴の隣に潜り込みそっと抱きしめると、君の温もりを感じ少し安堵した。
 だけどこのまま目を覚まさなかったら? 例え目を覚ましたとしても、もう嫌だと下町に帰ってしまったら? どうしてもそんな考えが頭をよぎり、落ち着かない。その間も腕の中の夕鈴はピクリとも動かなかった。
 頭を打っているので動かすことも出来ず、ただそっと抱きしめていると母の最期の姿が思い出される。

「あなたは……あなたの、支えになってくれる人を選んでね……」

 それだけ言うと静かに目を閉じる母を、ただ黙って見つめていた。
 その頃はそんな相手はいないし、いらないと思っていたのに……

「もう君が居ない生活は考えられない……」

 母が亡くなった時にも出なかった涙がこみ上げてきたその時、夕鈴がぴくりと動いた。

「夕鈴! 夕鈴っ」

 名前を呼び続けると、ゆっくりと君の瞼が開く。そしてこちらに視線を向けると、不思議そうな表情を浮かべた。

「どうされました?」
「良かった……夕鈴」

 夕鈴の質問には答えず、ただギュッと抱きしめていると君の手が背中にまわってくる。

「何があったのか分かりませんが、私はあなたの味方ですからね」

 そう言って優しく背を撫でてくれる君の顔をジッと覗き込んだ。

「ではずっと側に居て、一人にしないと誓ってくれるか?」
「お側に置いて下さる間は、絶対にあなたの側から離れません。一人になんてしません」

 昔は辺境に出された母が、なぜ寂しそうなのか分からなかった。だけど人を愛することを知った今なら分かる。本当は二人は愛し合って居たのであろう事が。
 ただ父が母を守る事が出来ていれば、母があんなに苦しむことはなかったのではないかと思った。ニッコリと微笑む君にそっと口付け、私は父と同じ道は歩まないと心に誓った――

 
(あれから二年か……)
 今夕鈴は産所に入り、出産が始まっていた。だが難産のようで、丸一日経った今もまだ生まれていない。

「あまり長引けば、お妃の命も危なくなるかもしれませんな」

 その老師の言葉に不安が募る。夕鈴の様子が気になるが中に入れてもらえず、ただ外で祈ることしかできなかった。
 これ以上待てないと無理にでも産所に入ろうと思った時、元気な産声が聞こえてくる。制止を振り切り夕鈴の元に駆け寄った。

「夕鈴! 無事で良かった」
「陛下……見て下さい二人の子です。やっと生まれました」

 息を切らし疲れた顔の夕鈴は、生まれたばかりの赤子に視線を向ける。

「それより君が心配なんだ」
「もう……昔も言ったじゃないですか……一人にしませんって。だから陛下……私達の子を抱いてあげて下さい」

 夕鈴にそう言われ、仕方なく産婆から我が子を受け取り腕に抱く。すると夕鈴は嬉しそうに優しく微笑んだ。
 
「これから二人で……その小さな命を守っていくんですよ。こんなところで死ねませんから」
「ああ、そうだな」

 理由が自分の為だけでなくなったのは寂しいが、夕鈴の二度目の約束にほっと安堵する。
 腕の中で元気に泣く子を見ても、正直戸惑いしか感じない。だけどこれからは夕鈴の為にも、自分の為にも二人を守ってみせると再度誓った。

おわり
 
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