夕鈴成長期〜高校生のクリスマス編〜
メリークリスマス(o^^o)

って事でやっとこちら用のクリスマスSSを持ってこれました!
少し前にBDリクでいくつか頂いた中に、たまには夕鈴の反抗が見たいっていうのがありましたのでそのネタを使わせてもらいました(о´∀`о)

いつもの如く結局は丸め込まれるのですけどね。
チョイ役李翔さんは名前を借りただけでした(^^;)

この間、あの日の君はのですけどね現代黎翔さんの方のお話をかいてたんですが、間違って消してしまい( ;´Д`)
あのシリーズの方はまた来年になりそうです。

よろしければ〜

黎翔 23歳(大学卒業後父親の手伝いをしながら勉強中)
夕鈴 16歳
明玉 16歳
「一緒に映画って久しぶりだね」
「うん! 今日はありがとう。観たい映画こっちの街まで来ないといけなかったし付き合ってもらえて良かった」

 クリスマス前の賑わいをみせる街の中、夕鈴と明玉は二人で映画館に向かい歩いていた。

「でも今日はお兄さんは良かったの?」
「うん……今忙しいみたいで今日は会えないって」

 大学卒業してからの黎翔は、勉強しながら父親の手伝いをしている為忙しかった。寂しさはあるが、その分明玉と久々の映画に来れたのだから楽しもうと顔を上げる。

「そっか。じゃあ二人で楽しもうよ」
「うん!」

 歓談しながら映画館に入ろうとした時、一瞬視界の端に黎翔が見える。視線を向けるとそこには、大人の女の人と共に歩いている黎翔がいた。
 そのままボー然と立っていると、それに気づいた明玉に声を掛けられ我に帰る。

「夕鈴、どうしたの?」

 何も答えない夕鈴を不思議に思った明玉が、その視線の先に目を向ける。するとそこにはやはり若い女と歩く黎翔の姿があった。

「あれ、あそこ歩いてるのお兄さんじゃない?」
「やっぱり……そうだよね」

 夕鈴は自分が見間違える筈がないし、明玉もそう言うならやはり間違い無いのだろうと思った。
(でも、なんで女の人と……)
 その思いはずっと頭に残り、映画の間も頭の中をグルグル回り集中できなかった。

「とりあえずどこかでお茶しようよ」

 明玉に促されるままに、映画の後近くの喫茶店に入った。明玉は明るく映画について話しているが、それどころではなく適当な相槌を打つだけだった。
 そんな夕鈴を見かねた明玉は、ある提案をする。

「夕鈴! たまには一緒に合コンに行こうよ!」
「え……」

 突然の事に戸惑うと、明玉は言い聞かせるように続けた。

「夕鈴は昔からお兄さんしか見てなかったから、たまには他にも目を向けてお兄さんを心配させないと駄目よ!」

 図に乗るだけよと力説する明玉に、それもそうなのかなと思った夕鈴は決意した。

「そうよね。いつも黎兄ちゃんは何も教えてくれないし、私一人で不安になって……分かった! 私行ってみるわ」
「そうそうその意気よ! そうと決まれば今晩早速行きましょ」

 明玉はちょうど一人女の子が足りなかったのよねと言いながら、早速準備よと息巻いている。何だかうまく乗せられた気がするが、まあいいかと二人で店を出た。


「明玉……この姿落ち着かないよ」
「大丈夫だって! 夕鈴可愛いよ」

 映画の後は明玉の家に戻り、準備だと服を着替えさせられた。その後薄く化粧を施され合コン会場に向かう。
 明玉に借りた服は膝の見えるスカートで、普段はあまり履くことがない為夕鈴は落ち着かなかった。
(いつもは禁止されているスカート。怒られるかな……)
 そこまで考えて、今日は関係ないかと思い直した。

「ほら、みんな待ってるから行くわよ」

 それが1時間前の出来事。自己紹介も終え合コンが始まると、気づけば皆席を移動し思い思いに話をしていた。

「ねえ、夕鈴ちゃん君面白いよね。普通こんなとこで自己紹介に苗字のみ言う子いないよ?」
「はい……」

 気づけば隣に座っていた医大生の李翔に、夕鈴は話しかけられていた。ニコニコしているその顔は、何処と無く黎翔に似ていている。

「でも、そんな不慣れなとこが可愛いよ」

 そんな笑顔で可愛いと言われると、悪い気はしない。
(黎兄ちゃんももっと笑うといいのにな。あ、でもそしたら余計モテちゃうか)
 夕鈴は気づけば黎翔の事を考えていて、怒ってるんだから駄目だと頭を振った。

「どうしたの? さっきから一人で百面相して」
「えっ、顔に出てました?」

 夕鈴が恥ずかしさにパニックになると、李翔はその優しい笑顔を浮かべて頭を撫でる。

「俺しか見てないと思うよ。だから大丈夫」

 黎翔とは違う手に触られても、嫌な感じはしなかった。李翔の話しやすい雰囲気に、話しやすい印象を受け会話も弾んでくる。楽しそうな夕鈴を見て、明玉は連れて来て良かったと微笑んだ。

「ねえ、夕鈴ちゃんちょっと抜け出して二人でゆっくり話さない?」
「え、でも明玉が……」
「大丈夫、終わった頃に戻って来ればいいから」

 すっかり仲良くなり、警戒を解いた夕鈴は李翔に促されるままに合コン会場を抜け出した。
 
「どこに行こうか」

 そう言いながら李翔はそっと夕鈴の手を握り歩き出す。そこで夕鈴は少し罪悪感を感じたが、振りほどくわけにも行かず内心どうしようかと焦っていた。
(でも、黎兄ちゃんも他の女の人と歩いてたんだからおあいこよね)

 そう考えるが、どうしても黎翔の顔がチラついてしまっていた。

「あの、私やっぱり戻ります」
「えー、折角抜けて来たんだからもう少し二人で話そうよ」

 そのままグイグイ手を引かれ、夕鈴は困ってしまう。

「カラオケしようか」
「あの……」

 暫く歩いたところで、李翔はそこにあったカラオケ店の前で立ち止まり問いかけた。夕鈴が返事をしようとした時、後ろから今聞きたくない声が聞こえた。

「夕鈴? こんな所で何してる」

 夕鈴はドキッとして振り返ると、そこには冷気を振りまく黎翔の姿があった。

「黎兄ちゃん……」
「ん? お兄さん?」

 どうしてここにと夕鈴が驚いていると、李翔が問い掛ける。

「あ、この人は……」
「私は近所の保護者的なものです。こんな時間に男と二人で歩いてるのを見つけたので声を掛けたんですよ」

 夕鈴が応えようとすると、それを遮るように黎翔が説明する。保護者と言われ胸が痛み、昼間の女の人の事もあり腹を立てた夕鈴は強く告げた。

「黎兄ちゃん、私これから一緒にカラオケ行くんだから放っておいて」

 そのまま夕鈴が李翔の手を引き、店に入ろうとすると黎翔は冷たい声のままつづける。

「へぇ……今からカラオケしてたら、夕鈴のせいでその人捕まってしまうけど。それでもいいのか?」

 それを聞いた夕鈴は、それは困るとピタリと歩みを止め振り返る。

「じゃあ違うところに……」
「それより素直に一緒に帰ったほうがいいと思うけど?」

 黎翔はニコリと冷たい笑顔を向け、夕鈴は背筋に冷たいものが流れた気がした。
 李翔はそんな二人の会話を、戸惑いながら見守っていた。
(これ……どう見ても痴話喧嘩だよな)

「夕鈴ちゃん、俺捕まりたくないし残念だけどここでお別れするよ。そのお兄さんと一緒に帰りなよ」

 素直になれない夕鈴と、連れ帰りたい黎翔のやり取りに見かねた李翔は夕鈴に優しく声を掛ける。

「夕鈴ちゃん、素直になったほうがいいよ。言いたいことはちゃんと言わないとね」

 夕鈴の耳元で囁いた後、今日は楽しかったよとその場を去って行った。夕鈴はその後ろ姿を見送りながら、どうしようかと考える。

「夕鈴、早く帰るぞ。そんな格好で出歩いて」

 不意に声をかけられ、ビクリと肩が震えた。でも今は怒っているんだと、自分を奮い立たせる。

「黎兄ちゃんの馬鹿! 何でいつも私に秘密ばかりなの? 昼間の女の人は何? ちゃんと答えてよ。もう子供じゃないもん」

 外なのも忘れ問い詰める夕鈴を、黎翔は小さく溜息をつくと、抱き上げた。

「分かった。帰ったら説明するから。今は黙ろうか」

 この寒空の下にいつまでもいると風邪を引いてしまうと、抱き抱えたまま歩き出した。

「もう、降ろしてスカートの中が見えちゃう」

 夕鈴はそこまで言ってハッと口を噤んだ。黎翔はそれは言わなくても脚を見ればすぐ分かると思いながら、見えないように抱きタクシーを止め乗り込んだ。

「お客さん喧嘩中かい? 明日はイブなんだから早く仲直りしなよ」

 車内で夕鈴は不貞腐れ黎翔もただ黙って座っていた為、心配した運転手にそう聞かれた。

「はい、何とか彼女に機嫌を直してもらいますよ」

 黎翔が答えると、運転手は満足そうに笑顔を浮かべる。夕鈴もそれを聞き、喜びが隠しきれていない様子だった。

 家に着くと黎翔の家へ入り、お仕置き部屋へと連れていかれた。

「ここなら防音だしね。じゃあ昼間のことから説明しようか」

 その言葉に夕鈴はゴクリと唾を飲み、他に本命がとか言われるのだろうかとドキドキしながら続きを待つ。

「仕事だよ。父親の事務所に訪れた客の案内とか、相手が女だったらよくやらされるんだ」
「え……」

 黎翔が淡々と話すのを聞きながら、夕鈴は予想外の答えにどうしていいか分からなくなっていた。

「本当?」

 少しの沈黙の後、ようやく夕鈴は声をしぼりだした。

「父親がその方が仕事が増えるからってさ。今は手伝いだから贅沢言ってられないからね。早く一人前にならないと」

 やっと語ってくれた真実に夕鈴は困ってしまう。仕事だったけど、これからもそれは続くということだ。
 複雑な顔の夕鈴に黎翔はさらに問いかける。

「他に聞きたい事は?」
「じゃあ何で最初は彼女って言ってくれなかったの?」
「とりあえずあそこはそう言っておいた方が良さそうだと判断したからだよ」

 その方が脅しも効果があるだろうと判断したからだった。
とはいえあいつは気付いてたみたいだなと、黎翔は心の中で呟いた。

「もう他になければ私からも質問するよ?」
「何?」

 夕鈴が少し落ち着いたところで、黎翔が問いかけた。

「なぜ約束を破ってスカートをはいた上に
、合コンに行ってるんだ?」
「それは黎兄ちゃんが女の人と歩いてたから。私もたまには他の人とって思ったの」

 夕鈴はいつまでも子供扱いしてと零す。黎翔からしたらまだまだ子供だけど、もう夕鈴も高校生。黎翔はもう少し話さないといけないかと思った。

「今度からはちゃんと言うよ」

 だから約束は守ろうと言う黎翔に、夕鈴は素直に謝った。

「ごめんなさい」
「じゃあ、明日は約束通りデートに行こうか」

 起きれたらねと黎翔が小さく呟いた事に、夕鈴は気づいていなかった。

――翌朝。
 枕元にプレゼントのネックレスを置くと、まだ疲れて眠っている夕鈴に黎翔は囁いた。

「夕鈴しかいらないから安心して」

 夕鈴は夢見心地にそれを聴き、笑顔を浮かべた。



 おわり
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