自分で視たもの聴いたもの 後編+おまけ
こんばんは~ (*´-`*)

今日は後編(恵紀鏡目線)とおまけ(陛下目線)を持ってきました!
今回のこのお話はここ最近の書き方と変えて書いたつもりです (*´-`*)

書いてる途中に君を9を更新しましたので、そちらも変えました(つもりですが(´・ω・`;)

後はクリスマスに向けてSSをカキカキするだけです!まにあうかなあ~


「恵紀鏡。今から戻りか」

 少し政務が落ち着き始め、近頃は屋敷に帰る時間が出来てきた。そのお蔭で少しお妃様と話をしたり、使用人頭の報告も聞けるようになった。
 使用人の間でもお妃様の評判は良いようで、何故か共に仕事している他の使用人達もやる気に満ち溢れているらしい。術を使っているのだろうかと思ったが、二人で会話している間自分に術を使って来ることはなかった。
 ただ一つ分かったのは、いつも陛下の事を想っている事だけ。今日も早めに戻り話をしようと、家路に着功としていた時不意に声を掛けられた。

「はい。今日は早めに切りがつきましたので、これから戻るつもりでおりました」
「そうか。お前はまだこちらに配属になって日も浅いが、その優秀さは聞き及んでいた通りだったな」
「もったいないお言葉にございます」

 突然の事に内心ドキッとするが顔には出すことはなく、陛下からのお声掛けに拱手し答える。すると陛下が思い出したように続けた。
 
「時に恵紀鏡 。私が大事にしていた兎が突然姿を消したのだが、どこぞで見かけなかったか?」
「いえ。私は見かけておりませんが、もし見かけた際はご報告致します」

 そつなく返事をしながら、どうやってこの会話を切り上げるか考えを巡らせる。陛下は特に変わった様子もなく、そのまま続けていく。

「ああ、それと恵采殿は息災か? あれから暫く見かけないものでな」
「お蔭様で元気に暮らしております」

 それならいいと陛下は身を翻し去って行った。ようやく終わり緊張が解ける。表情を変える事なく話は出来たが、背中には嫌な汗が伝っていた。
(そろそろ潮時か……)

 そう考え策を練りながら戻り、食事などを済ませると妃を呼び出す。

「お妃様。この数日間今までの王宮の事、そして官吏達の考え等お伝えして来ました。今回のような事がこれからも度々起こると思いますが、それでも貴女は戻りたいですか?」

 突然の問い掛けに驚いた様子だったが、お妃様はニッコリと微笑み答えた。

「全て覚悟の上で戻ったんですから、当然でしょう。もっと頑張って陛下を支えられる妃を目指してますから」 
「そうですか」

 やはり陛下を想っている事は分かるが、どうやってあの陛下や使用人達を変えたのかが分からなかった。やはり術だろうかと思い窓に視線を向ける。

「こちらにお出ででしたかお妃様」
「お前は祖父上様の……」

 突然二人以外の声が聞こえて視線を向けると、現れた刺客がスラリと刀を抜いた所だった。自身も刀を抜き、チラリと妃に視線を向けると青ざめた顔で刺客を見つめていた。

「邪魔する者はすべて排除しろとお達しですから、いくらあなたと言えども手加減しませんよ」
「お妃様はお逃げください」

 ニヤリと笑う刺客に対峙し告げると、妃は駆け出し心の中でほくそ笑んだ。すると突然刺客に壺が飛んできて、刺客はヒョイと避ける。そちらに視線を向けると、妃がもう一つ壺を抱え立っていた。

「恵紀鏡さんこそ逃げてください。あなたに何かあれば陛下もお困りでしょう」

 そう言って笑顔を向けてくる妃は、よく見れば恐怖で震えている。この状況では術は使わないのだろうかと思い、様子をうかがうことにした。
 刺客が妃に向かい歩き始めると、再び壺が投げられるが、壺は空を切り床に落ちるだけだった。

「私もこれが仕事なので悪く思わないで下さい」

 足が震え動けない様子の妃に刺客が剣を振り上げたと思った時、キインッと刀同士がぶつかる音が聞こえた。気付けば自身が刺客の剣を受けている。そんな無意識の自分の行動に驚いた。

「やはり邪魔しますか。でもそんな腕では私からお妃様は守れませんよ」

 刺客が再び剣を振るおうとした時、その腕にクルクルと鞭が巻きつく。

「危ない危ない。これ以上陛下を怒らせないでくれよ」
「何者だっ」

 刺客は叫びみんなの視線が集中したその先に、少し小柄で幼い顔立ちの男が鞭の柄を持ち立っていた。

「浩大っ! よかった」
「お待たせお妃ちゃん、遅くなってごめんすぐ片付けるから」

 その男は妃に向かいニカッと笑うと、襲ってきた刺客へ視線を戻し戦いが始まる。妃を立たせると、そっと別室に移動し座らせた。

「あれは何者でしょう。お蔭で助かりましたが」
「よかった……浩大が来てくれて。あの人は陛下の隠密で、とても強いからもう大丈夫ですよ」

 未だ青い顔のまま、安心させるような笑顔を向ける妃を見ながら考える。陛下が変わられたのも、使用人がやる気になったのもお妃様が術を使ったからではない。この人柄に惹かれどこにいても頑張る姿に惚れ、自分も頑張ろうと思うからだろう。本当は分かっていたのに、五大家の名に寄ってくる人間はろくな奴がいなかった。だからそんな人間が居るなど、認めたくなかったのかもしれない。

「恵紀鏡さん? どうかされました?」

 そんな事を考えていると妃が気遣うようにこちらの様子をうかがっていた。

「いえ、なんでもありません。それよりお妃様……」
「終わったよん。じゃあお妃ちゃん帰ろうか」

 部屋に先程の男が入ってきて小声で囁かれる。

「今は何も言わず陛下からの沙汰を待ちなよ」

 そのまま浩大と呼ばれた男は妃を連れて出て行き、部屋には一人残された。
 使用人達には夕花は家の事情で急遽帰らなければならなくなったと伝えると、皆寂しがっていた。
 それから何事もなく政務をこなしていると、数日後陛下の呼び出しを受ける。

「陛下、お呼びでしょうか」
「この間の事の礼を言おうと思ってな。我が妃が恵紀鏡は恩人だと言っているからな」

 拱手し入室すると陛下に声を掛けられ、真実を告げようと重い口を開こうとした。

「その事なのですが……」
「妃がそう思っているから、今回だけは見逃してやろう。だが恵采にはそれなりの処罰を与えるがな」
「え……」

 思いがけない言葉に驚き顔を上げると、その顔は怒ってはいるが以前のような冷たい目ではなかった。

「お前にはまだ役に立ってもらわなければならない。これから妃にも忠誠を誓えるな?」
「もちろんでございます! この度は本当に申し訳ありませんでした」

 その言葉に本当は妖怪妃の術に興味があり、祖父上に頼み妃誘拐を企てた事。死が見えたときに術を使うのではないかと試した事。そして私自身も妃の虜になっていた事。何も言わずとも陛下は全てお分かりだったのだと理解した。

「これからは恵家がお妃様の後ろ盾となりましょう」
「我が妃はなかなかいいだろう」
「はい」

 そこで陛下はふっと優しい笑顔を見せた。



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 夕鈴が攫われたのは政務が忙しく、王宮で浩大から報告を受けていた時の事だった。
 その日から三日経ってもまだ行方は掴めない。日々イライラが募り政務室はピリピリした空気が漂っていた。李順は何事もないように振る舞い様子を見ろと言うが、こうしている間にも夕鈴がどういう目にあっているか分からない。

「捜索は浩大に任せて、陛下はお妃様が見つかった時の為に政務をこなして下さい」

 李順の言うことも一理あるとは思うが、ただ夕鈴を失うのが怖かった。早く見つかる事を祈り、寝る間も惜しんで政務に勤しむ。


「陛下、お仕事頑張ってくださいね」
「夕鈴! 無事だったのか。良かった……」
「何言ってるんですか? 陛下寝ぼけてますか?」

 目の前で夕鈴がクスクス笑う。そこで目が覚めると、目の前には心配そうな李順の顔があった。

「陛下。ウトウトされるなら少し仮眠なされてはどうですか? ほとんど休まれてないでしょう」
「いやいい」

 あれから毎日政務に明け暮れ、浩大からの報告を待つ日々だった。その疲れと夕鈴不足から夢を見たのだろうか。少しすると浩大が窓からスルリと入ってきた。

「お妃ちゃん見つかったぜ! 恵紀鏡の私邸に使用人として居るみたいだ」
「何故そんな事に? 今から迎えに行くぞ」

 椅子から立ち上がり、夕鈴の元へ向かおうとすると李順に止められる。

「陛下! まだ状況は分かっていません。しかも五大家の孫である恵紀鏡の屋敷ですよ! 今乗り込むのは得策ではないでしょう。もう暫くお待ちください」
「そうだな。俺が暫く見張りも兼ねて調べてくるさ」

 浩大はそれだけ告げると、暗闇に姿を消した。浩大がいるからとりあえずは大丈夫だろうが、夕鈴の危機に駆けつけられないのは悔しいが今は待つしかない。

 それから数日が経ち、ようやく浩大からの報告が入った。

「恵紀鏡はお妃ちゃんがどうやって陛下を変えたのか興味深々でさ、恵采に頼んで今回の作戦に出たようだぜ」

 夕鈴はそんな理由で誘拐されたのかと思うと腹立たしい。すぐにでも助けに行きたいが、李順の提案により諦めざるをえなかった。

「それなら恵家を味方につける良い機会でしょう。恵采殿も孫にだけは甘いようですし、お妃様が恵紀鏡を誑し込めば良いんですよ。いざとなったらお妃様誘拐の件を持ち出し交渉しましょう」

 確かに冷静に考えると夕鈴を正妃にするには、五大家を味方につけるのが望ましい。いつも真っ直ぐで頑張り屋な彼女に関わった者は、皆好きになるだろう。

「夕鈴もう少し待っていてくれ」

 早く君に逢いたいと、夜空に輝く月を見上げ呟いた。


 寝る間も惜しんで頑張った為、政務も少し落ち着きを取り戻しつつあったある日の事。
 帰ろうとしている恵紀鏡を見つけ、声を掛ける。念のためにと牽制してみるが、動揺する事も無くただ淡々と返されただけだった。

 だがそれが功を奏したのか、その晩やっと恵紀鏡は動きを見せる。
 浩大が刺客を倒し、夕鈴を連れて帰ってきた。一報を聞き慌てて後宮へと向かうと、夕鈴が笑顔で迎えてくれた。

「夕鈴お帰り。無事でよかった」
「陛下……ご心配お掛けしました」
 
 夕鈴を抱きしめ肩に頭を乗せると、その匂いと温もりを感じ夢ではないと実感できる。夕鈴も潤んだ瞳で抱きついてきて、そのまま唇を塞いだ。
 無事だったから良いものの、恵紀鏡をどうしてやろうかと考えていると夕鈴が胸を叩いてくる。

「陛下、顔が怖いです。勘違いしないで下さいね? 恵紀鏡さんは私の命の恩人ですから! 絶対に処罰はしないと約束してください」

 一旦唇を開放してやると、必死な顔の夕鈴に窘められる。やはり夕鈴は疑ってもいないようだった。

「分かった」
「えっちょっと陛下。何か怒ってます?」

 それだけ言うと戸惑う夕鈴を抱え、寝台へと運んだ。ゆっくりと降ろし押し倒すと、夕鈴は手をギュッと握ってきた。

「陛下、私皆に認めてもらえるように頑張りますから。もうあなたを独りにしません」

 にっこりと笑う夕鈴の唇を再び塞ぎ、久々に夫婦水入らずの夜が訪れた。


 後日浩大から報告を受けた。
 夕鈴を試していた事は腹立たしいが、自分が放った刺客から夕鈴を助けたことといい、恵紀鏡もきっと夕鈴の虜になったのだろう。
 恵紀鏡にはまだまだ役立った貰いたい事もある。夕鈴は命の恩人だと思っている事だし、忠誠を誓うというなら今回は見逃してやっても良いかもしれないな。そう考えをまとめると、恵紀鏡を呼び出した。

「これからは恵家がお妃様の後ろ盾となりましょう」

 思ったとおりの結果に、流石夕鈴だなと微笑んだ。

おわり
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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