君を9
こんばんは~ (*´-`*)

昨日一昨日と沢山拍手を頂き、何か更新できるもの…無いなって事で昨日家事の合間などの隙間時間に
君をの続きをカキカキしました!

かなり久々で今更感があるかなと思いつつ、とりあえずアップします!
SNSの方には後でアップしようかなあ(´・ω・`;)

*現パロ、オリキャラ有です。よろしければどうぞ~

黎翔 社長24歳
夕鈴(偽婚約者)20歳
李順 秘書27歳
克右 運転手兼ボディガード30歳
浩大 スパイ兼ボディガード26歳
張元 珀家お抱え主治医
秋香 珀家家政婦さん
青慎17歳(夕鈴弟)
柳 義広53歳 常務
柳 経倬24歳 常務の長男(離島に隔離中)
氾 史晴43歳 本部長
氾 紅珠 17歳


「黎翔さん行ってらっしゃいませ。お仕事頑張ってくださいね」
「君と離れるのは辛いが、仕事だ行ってくる」

 毎朝玄関に夕鈴が見送りに来て、出る前に抱きしめる事が日課になっていた。すると真っ赤な顔でプルプル耐える夕鈴が可愛くて、離したくなくなるのもいつもの事だった。

「あ、黎翔さん。今日はこの前の紅珠さんがいらっしゃるそうなので、早く戻れたら一緒に食事しませんか?」
「え……?」

 突然の紅珠との食事の誘いに思わず固まる。夕鈴は自分が縁談よけの為にと雇われた事を忘れているのだろうか。
 何も言わないでいると、顔色を伺うように見上げて来た。

「お嫌ですか? 彼女が黎翔さんに会いたがっていたので……」

 心底残念そうにお嫌ならお断りしますが……と続ける夕鈴に、では早く帰れたらという約束をし会社に向かった。

 やっと気持ちを分かってもらえたあの日から夕鈴は変わった。何にでも意欲的に取り組み、照れながらも人前でのイチャイチャも我慢出来るようになってきた。
 経倬による擦り込みが原因でまだ少しうなされる日があるらしいが、回数は減って来ているそうだ。
 全てが順調に進んでいる筈だったが、何か引っかかる気がした。

「李順。順調にいっているはずなのに、何か引っかかる気がするのは幸せ過ぎて不安になっているのか?」
「仕事の話かと思ったら、夕鈴さんの話ですか! そんな事は知りませんよ好きにしてください」

 机に向かい真剣に書類に目を通すそぶりを見せていたが、夕鈴との話を振った為李順は眉間に皺を寄せた。

「社長! そんなことより早く仕事を終わらせないと夕鈴さんに会えませんよ」

 李順にそう言われると、本当に会えなくなりそうで慌てて書類に目を落とす。
(そうだ、あの時は舞い上がって夕鈴の気持ちを聞いていなかった)
 引っかかっていた事はそこかと考え、帰ったら確認しようと早く終わらせる為に仕事に集中した。


 早く夕鈴に会いたい一心で仕事を片付け、時計を見るとまだ二十時前だ。この時間なら紅珠は帰ってるだろうと、意気揚々と自宅に戻り玄関の扉を開けると夕鈴が立っていた。
 わざわざ待っていてくれたのかと喜ぶが、夕鈴の口から信じられない事を聞く羽目になる。

「おかえりなさいませ。黎翔さん紅珠さんもお待ちですよ」
「紅珠が?」
「はい、もう少しで終わりそうだと李順さんから連絡頂きましたので、黎翔さんをお待ちしてました」

 そう続ける夕鈴にばれないように小さく溜息をつくと、夕鈴の手を取り共に紅珠の待つ部屋へと向かった。

「黎翔様、お帰りなさいませ。お待ちしておりましたわ」
「ああ、久しぶりだな紅珠」

 挨拶を交わしはしたが、紅珠には興味がないと言うように夕鈴を抱き上げると椅子まで運ぶ。夕鈴は照れているが縁談よけの為にも見せつけなければならなかった。
 チラリと視線を向けると、思った通り紅珠は引きつった笑みを浮かべ座っている。
 そうこうしていると、食事が運ばれて来て、わざと見せつけるように料理を少し取り夕鈴の口元に運んだ。

「夕鈴これ好きだろう。口を開けて」

 微笑みながら言うと、夕鈴は小声で話しかけてきた。

「れ、黎翔さん。そんな演技はもういいですから」
「駄目だよ。ちゃんと協力してくれなきゃ」

 そう言うと夕鈴は観念したように口を開ける。何度か食べさせた後今度は食べさせてと言うと、プルプルと震えながら口に運んでくれた。
 仲の良さを見せ付けると紅珠は余り視線を向けないようにしている様だった。
 食事が終わったタイミングで夕鈴が口を開く。

「黎翔さん。食事も済んだ事ですし、おやつはいかがですか? 今日は紅珠さんと一緒に作ったんですよ!」
「夕鈴の手作りの品か。それなら頂こう」
「少し待っててくださいね」

 そう言うと嬉しそうな夕鈴を、可愛いなと見つめていた。
 暫く待っていると湯気の立つ蒸篭が運ばれて来る。夕鈴がその蓋を開けると、小振りの可愛らしい桃饅頭が現れた。

「紅珠さんと二人で作ったんです! 彼女は初めて作ったんですよ。二人の力作を熱いうちにどうぞ」

 まだ熱い桃饅頭を一つ手に取り、二人の視線を受けながら口に運ぶ。饅頭に噛り付くと、中から香ばしく甘い餡が出て来た。

「この香ばしい味と香りは胡麻かな? ありがとう美味しいよ」
「はい、黎翔さんご名答です。胡麻餡にしちゃいました」

 そう言うと二人は嬉しそうに顔を見合わせ微笑み合っている。どうやら夕鈴は紅珠とかなり仲良くなってしまったようだ。
 女同士とはいえ面白くない気持ちと、これ以上付き合うのは面倒だという思いから、桃饅頭を一つ手に取り夕鈴の口元に持って行く。すると頬を染めながら夕鈴は口を開け、桃饅頭を咥えた。そこですかさず反対からかじりつく。

「なっ……な……」
「こうするとさらに美味しい」

 夕鈴は目を見開き口に手を当て、声にならない叫びを上げていた。紅珠からは死角になっていて、この可愛い顔は自分にしか見えない。

「わ、私そろそろお暇させてもらいますわ。お邪魔致しました」

 そのやり取りを見ていた紅珠は、今にも泣きそうな顔で立ち上がり荷物を持つと、小走りで部屋を飛び出して行った。

「あっ、紅珠!」
「夕鈴、追っては駄目だ。これが君の仕事だ」

 追いかけようとする夕鈴の腕を掴み告げる。それでなくても夕鈴以外に興味はないと続けるが、クルリと振り返った夕鈴は怒りを露わにしていて耳に入っていないようだった。

「黎翔さんの馬鹿! 紅珠が黎翔さんの為に……すごく頑張って作ってたのに。幾らなんでも酷いです!」

 そう言い残すと、夕鈴は制止を振り切り紅珠を追いかけて行く。
 一人残された黎翔はただボーゼンと立ち尽くしていた。

「夕鈴……」


 翌朝夕鈴は見送りはしてくれたが、明らかにいつもと違い余所余所しい態度だった。
 仕事をしながら今晩こそはちゃんと話をしようと、頑張って仕事を片付けていく。やっと終わり慌てて帰ると、秋香に夕鈴の不在を告げられ預かっているという手紙を受け取った。

 その手紙を恐る恐る開いてみると、そこにはこう記されていた。

『父の体調が悪いようなので少し実家に帰ります。李順さんの許可は頂いてますので、黎翔さんはお仕事頑張ってくださいね。  夕鈴』

 昨日のことが原因だったわけではなくひとまず安心するが、二日続けての空振りに黎翔はガックリと肩を落とした。

つづく
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