陛下の想い
こんにちは〜(o^^o)

今日は久しぶりに土曜休みだったので、どうしても書きたくなったお話完成させられました!
そしてこれから支度して友達と飲みに行きます(´∀`)

と、いう事でこのお話はこの間通勤中に三羽のスズメが道路の真ん中の水たまりで水浴びをしているのみ見まして。
水浴び夕鈴!+本誌!+水浴びって言ったら羽衣伝説!
って事で書き上げましたので最後の台詞はネタバレになっています!
そして捏造しています!

それでも大丈夫な方はどうぞ〜
 薄暗い森の中を一人で歩き続けていた。歩いても歩いても何も変わらない景色の中、ようやく光が見えてくる。

「今日は居るのか……」

 やっと見えた希望に一人呟くと、向かう足取りは次第に早くなる。段々と近付くにつれ、女のはしゃぐ声が聞こえてきた。

「今日はいいお天気で、行水日和ね」
「ええ、気持ちいいですわ」
「あら、あなたまた大きくなったんじゃない? 成長期で良いわね」

 男が木陰から覗くと、三人の天女が水浴びをしている所だった。男はその中の一人に目を奪われる。陽の光でこげ茶の髪が金色に輝き、体に張り付いて雫と共にキラキラと光輝いていた。

「そろそろお仕事に戻らなきゃ」
「そうね。気持ちよかったわ~これでまた頑張れそう」
「はい! お姉様」

 三人は近くの木に掛けていた羽衣に手を伸ばすと、その中の一人が男の存在に気付いた。

「きゃあっ! 人間の男よ!!」

 天女達は慌てて羽衣を羽織り飛び立つ。だが一人の天女だけは、羽衣を纏うこともできず男に捕らわれていた。

「夕鈴っ」
「お姉様!」

 二人が心配そうに空から名前を呼ぶが、男はその天女から手を離す事はしなかった。

「お前らは去れ」

 男は二人の天女を睨み付けると、一言告げる。その冷たい声と雰囲気に、二人の天女は青ざめ黙るしかなかった。

「は、離してください。わたしは天に帰ってやる事があるんです」
「君は私と来てもらおう」

 天女の羽衣を取り上げ、男は自分の外套で天女を包み抱え上げる。そのまま馬を繋いである場所まで戻ると、天女を連れ帰った。

「今日から君はここで暮らすんだ」
「ここは?」

 天女は馬から降ろされ、連れられて入った部屋を見回す。そこは煌びやかな装飾品が沢山飾られていた。

「ここは後宮だ。君には今日から此処で暮らしてもらう」
「そんな……」

 天女はがっくりと肩を落とし、男は無言で天女を見つめていた。
 すると後ろから声が聞こえる。

「この娘か、陛下が連れ帰られた天女というのは」

 二人が視線を向けると、その先には小さな老人が立っていた。
 老人はジロジロと天女を観察し、とりあえず支度をさせようと女官を呼ぶ。天女は支度の為女官に連れられ部屋を出て行った。

「儂の言った通りだったでしょう。深い森の中に天女が水浴びする湖があると、昔から言われてましたからな」
「ああ。天女も手に入れた事だし、これでこの国も安泰だな。それにしてもこの羽衣を纏うだけで空が飛べるとは、大したものだな」
「それがなけれはあの娘は天には戻れません。目的達成までは儂がお預かりしましょう」

 男は羽衣を眺めながら老人と言葉を交わし、老人は羽衣を受け取り丁寧に箱に入れた。


「失礼します。陛下、お妃様の支度が完了致しました」

 暫くすると女官の声が聞こえ、入り口に視線を向けると戸惑った表情の綺麗に着飾られた天女が連れられ入室する。

「さすが美しいな。お前達はもういい下がれ」

 男がそう言うと、女官と一緒に老人も部屋を出て呟きを落とした。

「さて。あの天女は、陛下を変えることが出来るだろうか」

 
 二人残された部屋で男は天女に告げる。

「遅くなったが私の名前は珀 黎翔。この国の王だ」

 天女は驚きの表情を見せ、警戒からか少しずつ距離をとりながら問い掛けた。

「その王様がどうして私をここまで連れてきたのですか?」
「天女と一緒になった者は、富と成功がもたらされると言うからな。先程の老師に情報を聞き、私自ら探し出したのだ」

 天女は国の為ということだろうかと思案していると、否は聞かないと陛下に抱き上げられた。

「……分かりました。一時的に妃になりますから、降ろしてください」

 その冷たい眼差しで見つめられ、天女は怖さと恥ずかしさにやっとの事で声を絞り出した。椅子に降ろされた天女は装いを正し、陛下に向き直り告げる。

「私は天女の夕鈴と申します。これから国を建て直されるとの事、精一杯の尽力をさせていただきます 」
「君は……」
「失礼します陛下。李順様が至急お戻りくださいと仰られています」

 陛下が言葉を発しようとした時、女官から声が掛かった。仕方ないなと夕鈴に「夜には戻る」とだけ告げ、陛下は王宮へと向かった。



「やっと解放されたぞ。周ももう少し加減を覚えればいいのだが」

 夕鈴を連れ帰った日。天女捜索の為に少し王宮を留守にしていたせいで周宰相との政務を余儀なくされ、顔を合わせないまま一週間が過ぎていた。
(あれから一度も顔を合わせていないな。夕鈴はどうしているだろうか)
 ようやく開放された陛下は天女のことが気になり、顔を見に後宮へと向かう。すると、部屋からは楽しそうな声が聞こえてきた。

「こちらではそういったお仕事をされるんですね」
「ええ、ですからもっと私達に仕事をさせて下さいね」

 部屋からはクスクスと笑い声が聞こえ、そっと覗き見ると満面の笑みの夕鈴と女官が楽しそうにお茶をしていた。

「随分楽しそうだな」

 まだ自分に向けられることはなかった夕鈴の笑顔が、女官に向けられているのを見ると何故か心がざわついた。その為思ったより冷たい声が出て、突然掛けられた声に女官は驚き震え上がる。
 
「陛下! 申し訳ありません。自分の職務を果たさず歓談しておりまして……」
「私が無理言ってお話させてもらってたんです。怒らないで下さい!」

 女官を庇い前に進み出る夕鈴は気丈に振舞っているが、よく見ると体は小刻みに震えていた。陛下は女官を下がらせると夕鈴を抱き上げる。

「そんなに怖がらないでくれ。水浴び中の君を連れて帰ったのだし仕方ないだろうが暫くは夫婦だ」
「ではそんなに皆を怒らないで下さい。恐怖で支配していては反感を買いますよ」

 いつもの様に淡々と告げたはずが、心の機微を感じ取ったのか夕鈴は恐れることを止め優しく諭す。流石は天女かと納得し、様々な事情は告げずただ返した。

「善処しよう。君がいてくれれば全て上手く行く気がするな」

 陛下が思わず笑みを漏らすと、夕鈴も嬉しそうに笑う。その笑顔をもっと見たいと思い、陛下はその言葉を心に留め政務を頑張ろうと思った。
 隠しても全て感じ取ってしまう夕鈴に、いつしか陛下は心を許し夕鈴もそんな陛下を傍で見続け愛しく思うようになっていた。


 年月が経ち国は安定し、二人の間には確かな絆が育まれていた。それでも陛下は最初の約束もあり、未だ夕鈴を正妃にしていなかった。

 そんなある日。炎波国から第二皇女が使節団と共に訪問されるという事で、王宮では忙しく準備が進められていた。
 夕鈴は何日もないお渡りに、炎波の姫を正妃へと迎えられるという噂を信じてしまう。それならと合間に後宮の掃除を始めた。
 その最中に偶然発見してしまう。大事に仕舞われ、忘れられたように置いてあった羽衣を。夕鈴はそれを取り出し纏ってみるとまた飛べそうな気がした。

「帰ろうと思えばいつでも帰れる。でも、もう少しあの人の傍に居たい」

 夕鈴は暫し羽衣を握り悩み、もう一度丁寧にたたみ箱に仕舞う。

 それから数日が経ち、使節団が到着した。
 噂の姫は積極的に陛下に迫り、その後偶然夕鈴は陛下が炎波の姫に甘い言葉を囁いているのを聞いてしまう。
 陛下としては炎波国の内情を探る為の策に過ぎなかったが、正常な判断の出来なくなっていた夕鈴はショックを受け、後宮の一室に走り去ると羽衣を纏った。
 長い間飛んでいなかった為少し手間取っていると、女官の声が近付いてくる。

「お妃様、どちらにいらっしゃいますか?」

 焦って余計に飛べない夕鈴に、空からまばゆい光が降り注ぎ声が掛けられた。

「夕鈴、迎えに来たわ。やっと帰る気になったのね」
「お姉さま。ずっとその気になるのをお待ちしていましたわ」

 視線を向けると、そこには最後に共に水浴びをした二人の友の姿があった。さあ早く行きましょうと二人に支えられ夕鈴は天へと飛びたつ。
 その美しい天女達が天へと向かう光景を、女官達はただ見守ることしか出来なかった。陛下が気付いた時には声も届かないほど離れていて、どうすることも出来ずただ肩を落とし嘆いた。

「これが片付いたら、君を正妃にしようと思っていたのに……」

 急に消えてしまった妃に空になった後宮。人々は天女だったお妃様は天にお帰りになられたと噂した――


「っていう夢を見てね。君の顔を何日も見ていないと……もう本当はいないんじゃないかと不安になる」
「心配しすぎですよ陛下!」

 夕鈴に抱きつき肩に顔を埋め温もりを感じると安心した。腕の中の夕鈴はそう言うが、これからそういうことがないとは言い切れない。
 ただ思うのは、あれは夢でよかった。もう二度と君を離さない――


おわり
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