願わくば
三度目のこんばんは~ (*´-`*)
企画者にトリを譲りました花愛です。

私の仕事がピークに忙しい日、突然煤竹に忙しい花愛の為に企画考えたよって言われ(´・ω・`;)
まあ面白そうなので乗ることにしました。
そして出来上がったのがこの三話です。少しでも皆さんに楽しんで頂けると幸いですm(..)m



煤竹さここんばんは、煤竹さこです(ฅ'ω'ฅ)
私が仕事中に思いついたネタを企画にしてみました。
あらすじだけなので、他二人はどんな展開になるかとドキドキしながら書きました。
私は前世メインで原作に繋げる形にしました(その後は創作ですが)
今回はいつもと書き方を変えてみたので、少し書くのに苦戦しましたが、楽しんでいただけると幸いです。




あらすじ

 群れの中で孤独を感じていた狼と臆病で好奇心旺盛な兎。

 種族は違えど仲良くなった二匹は、ある事件をきっかけに死んでしまう。

 そして、幾年もの永い時が流れ二匹の魂は人間へと生まれ変わった――

設定

 狼――黎翔の前世
 兎――夕鈴の前世

 二匹は種族が違うので言葉は通じない(心は通じ合ってた)
 二匹とも名前はない。

 人間の立ち入らない深い森の中。そこにはたくさんの動物が住んでいて、その動物達を統べるのが僕らの一族だ。現在の森の主は亡き祖父に代わって僕の父親へと移った。
 僕ら狼は他の動物達に畏怖される存在であり、それは人間にも畏怖される存在だ。
 狼は群れをなす動物だけど、僕はその中で孤立していた。でも、あの子と出会って僕の人生は一変した――


 親兄弟に疎まれている僕は、狩りも一匹で行っていた。大きな獲物は一匹では狩れないからいつも小動物を狙うことにしている。
 狩場を追われた僕はお腹を空かせて森の中を彷徨う内に、少し開けた場所に出た。色とりどりの花が咲き乱れた花畑。
 その花の中に埋もれるように茶色い毛玉が転がっている。

『毛玉……?』

 その毛玉に鼻先を近付け、匂いを嗅いでみると毛玉は飛び上がってビックリした顔でこちらを振り返った。
 毛玉だと思っていたものには長い耳、そして短い尻尾がついていた。

『毛玉じゃなくて、兎だったのか』

 僕が狼だと分かったからか、兎は耳を後ろに倒し体を縮こまらせて逃げる機会を窺っているようで。
 そんな兎を見ていると何だか自分と重なって見えてきて、僕は兎に背を向けてその場を去った。
 獲物を探していたはずなのに、お腹が空いていたはずなのに、そんな事どうでも良くなってしまったんだ。

 再び歩き始めた僕の後ろを兎がピョンピョンとついてくる。見なくたって気配で分かる。
 見逃してあげたのに、どうしてこの子は僕についてくるんだろう?
 僕は足を止めて振り返る。それを見て兎も足を止めた。

『どうして僕についてくるの?』

 兎はキョトンとした顔で僕を見つめている。そうか、僕の言葉はこの子には通じないんだ。
 言葉が通じない事への歯がゆさを感じながら、僕は兎を振り切るために走り出した。だけど、兎が僕から離れる事はなかった。こんな小さな体にどんな力を秘めているのか。

『降参だ。君は足が速いね』

 通じないと分かっているけど、僕は足を止めて兎に声をかけた。
 全速力で走り回った上にお腹が空いている事もあり、体力のなくなった僕はその場に伏せて深い息を吐いた。
 その様子をジッと見ていた兎は突然立ち上がってどこかへと走り去っていった。

『一体何だったんだろう?』

 兎がいなくなって少し寂しさを感じたけど、僕はこれでいいんだ。
 僕に味方なんていない。家族なんて、いないのと一緒だ。僕は死ぬまで一匹で生きていくんだ。
 胸の中を占拠する気持ちに蓋を閉め、僕はソッと目を閉じた――


――ダン! ダン!
 大きな音に目を開けると、そこには地面を踏み鳴らしている兎がいた。僕の目の前には大量の木の実が転がっている。
 僕が起きた事が分かると兎は地面を踏み鳴らすのを止めてジッとこちらを見つめている。

『もしかして、これを食べろって言ってるのかな?』

 兎にまで心配されるほど僕は弱って見えるのかな。情けない話だ。確かに、ここの所まともに獲物を狩れていないから、体は少し痩せこけてしまっている。
 言葉は通じないけれど、この子の言いたい事が分かったような気がした。

"これを食べて元気出して"

 僕のことを心配してくれた事が嬉しくて、僕は木の実を口にした。
 木の実なんてよっぽど飢えた時しか口にしないけど、この木の実はとても美味しく感じた。


 それから、僕らは一緒に暮らすようになった。木の洞を住処にして昼はお互いの食料を集め、夜は一緒に眠った。
 僕らは食べるものが違うから、昼は自然と別行動になる。
 兎に別れを告げ、僕は獲物を求めて少し遠くに足を延ばす。ついでに周りに外敵がいないかを確認するのが目的だ。
 狩りが終わって辺りの様子を窺ってみる。今日も異常はなさそうだ。

 住処に戻ると、兎がせっせと野草や果物を木の洞に運んでいるところだった。
 耳をピクピクと動かし、足音を聞きつけたのかこちらへと振り返る。
 嬉しそうにこちらに跳ねてくる兎を見ていると、とても満たされた気持ちになるんだ。
 こんな気持ちになるなんて、群れにいた頃では考えられなかったな。


 何回目かの朝を向かえ、兎の顔をペロリと舐める。兎も鼻をヒクヒクさせて僕の鼻先を舐める。これが僕らの挨拶。
 そしていつものように別行動を開始する。僕は獲物を狩りに出かけた。
 獲物を追いかける途中、異変に気付いた。地面にまだ新しい足跡を発見した。それは、狼の足跡だった。

『この匂いは……!』

 嗅ぎ覚えのある匂いに、僕は獲物を追うのを止めて住処へと引き返した。
 嫌な予感がする。とても嫌な予感が。
 必死に走った。速く、一秒でも速く。風と一体化したのではないかと思うぐらい、僕は速く走った。

 もうすぐ住処に着くというところで、僕は足を止めた。血の匂いだ。

『そんな……まさか……』

 木の洞に近付くと、そこには血まみれになって横たわっている兎の姿があった。
 僕は吼えた。この子を守れなかった悲しみと、この子をこんな姿にした相手への憎しみの混ざり合った咆哮を轟かせた。

 兎の亡骸を大好きだった花畑に埋めてやると、僕は意を決して群れの元へと戻った。

『よう、久しぶりだな』

 群れの元に戻ると、一匹の狼が話しかけてくる。僕の兄だ。
 僕は返事もせず低く唸った。

『何怒ってんだよ。まさか、あの兎のことか?』

 悪びれる事もなく言ってのける兄に、怒りで目の前が真っ赤になる。

『お前さ、あんな兎に何本気になってんだよ』
『黙れ!』

 怒りに身を任せて大きく吼えた後、兄の喉元に噛み付いた。そのまま兄が動かなくなるまで何度も何度も噛み付いた。
 動かなくなった兄の体を見下し、今度は父親の元へと向かう。

『ああ、帰ってきたのか?』

 僕に背を向けたまま、父親が話しかけてくる。

『全く、あいつには困ったものだな。兎なんぞに入れ込みおって。あいつは一族の恥だ』

 そう言って振り返る父親の目にはハッキリと驚きの色が見えた。

『な……! なぜお前がここにいるんだ!』
『あなたを殺す為ですよ』

 言うが早いか動くが早いか。地面を蹴り、父親の鼻先目がけて突っ込んでいく。鼻先に喰らい付き、父親が怯んだ隙に地面へと引き倒し、鼻先を前足で固定したまま喉元へと牙を立てる。
 兄と同じく動かなくなった父親を見下ろして、呆気ないものだなと思った。

 その後、一族を皆殺しにした僕は崖の上で月を眺めていた。
 罪のない同族をも殺めてしまった。だけど、僕ら一族はいない方が皆幸せになれる。
 もし生まれ変わる事が出来るなら、願わくば次はあの子と同じ種族になれますように。

『今からそっちにいくよ』

 僕はあの子に聞こえるように大きく吼えてから崖下へと身を投じた――



「この一か月間、後宮でお務め頂きたいのですよ。汀 夕鈴殿」

 青い顔をしてブルブルと震える少女に李順は言い放った。

「……なんだ。手を出してはいかんのか?」
「後継ぎ問題にでも発展しては後々面倒ですので」

 苦言を呈してくる李順につまらなさそうな顔で「なんだ。つまらんな」と呟いてから私の言葉に反応して体を強張らせている少女、夕鈴に微笑みかける。

「せっかく愛らしい兎が来たものを」

 兎、という単語を発してから胸の中がザワザワと落ち着かない気持ちになる。
 一体この気持ちは何なのだろうか?


 あれから月日が経ち、臨時花嫁として頑張っている夕鈴を愛しく思い始めた頃、ある夢を見た。
 夢の中で私は狼で、私はいつも連れ添っている兎を愛おしく思っている。しかし、兎が殺された事をきっかけに私は一族を皆殺しにしてしまい、そのまま自分の命を絶ってしまう。
 そんな夢が何日か続き、気がおかしくなりそうな私に気を使ってか夕鈴からお茶を飲まないかと誘いがあった。
 夕鈴の淹れてくれたお茶は美味しかったが、やはり夢が気になる。

「あの、陛下……。ここのところ何かお悩みのようですが、何か私に出来る事はありますか?」

 心配そうにおずおずと尋ねてくる夕鈴に優しく微笑んだ。

「大丈夫だよ。ありがとう」

 夕鈴に心配かけるなんて、もっとしっかりしなくっちゃ。そう思いつつ夕鈴に目を向けると、眉間に深い皺を刻んでいる。

「夕鈴。眉間の皺がすごいけど、どうかしたの?」

 慌てて問いかける僕に、夕鈴はただただ「何でもありません」と首を振るばかり。

「とても何でもないようには見えないよ。それとも、僕には言えないこと?」

 少し考えた後、搾り出すように話し出す夕鈴の言葉に耳を傾けた。

「……最近、夢を見るんです。とても、恐ろしい夢を……。夢の中で私は兎で、狼と連れ添っているんです。でも、ある日私は狼に殺されてしまうんです。一緒にいる狼は怖くないのに、愛おしいと思っているのに、私を殺した狼はとても恐くて……」

 そこまで言ってから堰切ったように泣き出す夕鈴を慰めながら、僕も一緒だよと告げる。
 まさか、夕鈴も同じような夢を見ているとは思わなかった。

「僕も同じような夢を見るんだ。夢の中で僕は狼なんだけど、兎と連れ添っていてね。その兎が僕の留守の間に狼に殺されてしまうんだ」

 兎が殺された後のことはあえて語らなかった。夕鈴をいたずらに恐がらせたくなかったから。

「陛下も……なんですか?」

 流れる涙を拭いながら、夕鈴が問いかけてくる。
 それに頷いて、夕鈴を抱きしめると一つの持論を語った。

「もしかしたら、僕達が見てる夢は実際に起こった出来事なのかもしれない。守りきれなかった兎を想う狼の気持ちが、こうして僕達に夢を見させていたのかもしれないね」
「もし、これが本当にあった事なのだとしたらひどすぎます」

 また泣き出しそうな夕鈴の頭を撫でて微笑みかける。

「起きた事はもうどうする事も出来ない。だけど、僕は絶対に夕鈴を、兎を殺させたりなんてしないよ。必ず守ってみせると誓うよ」

 夕鈴は何か言いたそうな顔をしていたけど、泣きそうな顔で僕に笑いかけてくれた。

「はい。陛下の事、信じてますからね」


 前世では叶わなかった二匹の夢が、今世では叶う事を願って――







おまけ
Q:狼父さん鼻いいはずなのに、振り返らなくても息子の匂いで分からなかったの?
A:血の匂いで分からなくなってました。あと、息子(兄)殺したから匂い移ってた。

ちなみに、前世の記憶はなくとも魂が覚えているので、最初の頃夕鈴が狼陛下を恐がっていたのは狼(兄)に殺されたから。
狼モードにもときめくようになったのは仲良くしていた狼との記憶からなイメージで書いてみました。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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