紅線


花愛
またこんばんは~ (*´-`*)花愛です。
次は私のお話をアップさせてもらいます!
原作に繋がるように書いてたけど、台詞も変えちゃいました(´・ω・`;)

一応あらすじも載せてますが、前世の死ネタ含みます。
よろしければどうぞ



あらすじ

 群れの中で孤独を感じていた狼と臆病で好奇心旺盛な兎。

 種族は違えど仲良くなった二匹は、ある事件をきっかけに死んでしまう。

 そして、幾年もの永い時が流れ二匹の魂は人間へと生まれ変わった――

設定

 狼――黎翔の前世

 兎――夕鈴の前世

 二匹は種族が違うので言葉は通じない(心は通じ合ってた)

 二匹とも名前はない。

――遠い遠い昔の事。
 鬱蒼と茂る深い森の中で、一組の狼の群れが暮らしていた。
 群れには他の狼に比べて一際大きな狼がおり、締まった体に真紅の瞳を持っていた。その狼は誰も寄せ付けないオーラを醸し出し、他の狼は近寄り辛く一匹浮いた存在になっていた。
 居心地の悪さを感じていた大きな狼は、群れを離れ崖の上で景色を眺めることが多かった。

 よく晴れたある日。大きな狼がいつもの様に群れを離れ、崖に足を向ける。するとその日は一匹の兎が崖の上を飛び回っていた。近くに生えている草を食べ、美味しかったのかピョンピョンと嬉しそうに跳びまわる。
(元気な兎だな)

 特にお腹も空いていなかった狼は、木の影からそっと様子をうかがってみることにした。
 兎は鼻をヒクヒクとさせると崖に近付いて行く。そのまま崖から下を覗きこむと、じっと何かを見つめているようだった。
 何があるのか気になった狼は、静かに近付いてみる。すると兎は耳をピクリと動かし、狼に振り返った。
 振り返った先に大きな狼がいて驚いた兎は飛び上がり、慌てて逃げようとして足を踏み外す。狼は崖から落ちかけた兎を咄嗟に咥えた。 
 狼の口の中で、兎はブルブルと震えている。一先ず安全な場所に移動する時、チラリと見えた崖には綺麗な花が一輪咲いていた。
(この兎は花に見とれていたのか)

 何もない所で降ろしてやるが、兎は小さくなって震え続けている。その為、狼は安心させるように体を舐めてやった。
 暫く舐め続けていると、やがて落ち着きを取り戻した兎は、狼に擦り寄る。

 そうしていると段々と日が落ちてきて、辺りを茜色に染めていく。そろそろ戻らないといけない狼は、最後に兎をペロリと舐めると崖を後にする。
 狼が群れに向かって歩き出すと、気配を感じ振り返った。すると先程の兎が後を追ってきている。着いてくるなと低く唸り再び歩き出した。だがやはり兎は狼を追ってくる。何度かその繰り返しをした後、どうしても諦めない兎に、群れに帰るのを諦めた狼は二匹で連れ立って森の奥へと消えて行った――


 行動を共にするようになった狼と兎はいつも一緒だったが、狼は食事の時だけは兎を残して狩りに行く。
 それは兎に食事の場面を見せたくなかったからだ。それを兎は理解し、いつも大人しく待っていた。

 やがて森に激しい寒波が襲い、二匹は身を寄せ合い暖めあって日々を過ごす。
 その日は天気がよく、いつものように狼は兎を残し狩りに出かけた。
 兎が近くで餌を探していると、聞きなれない声が聞こえてくる。木の影に隠れ近付いてくる音に震えていると、兎の傍で声が聞こえ視線を向けると、そこには初めて見る二本足の生き物が立っていた。


 その頃狩りをしていた狼は微かに兎の声を聞き、慌てて狩りを中断すると兎の元に駆け戻る。
 別れた場所には兎はおらず、辺りには血の匂いと兎の匂いが漂っていた。
 狼は血の匂いを頼りに駆けると、段々匂いが濃くなってくる。兎の無事を祈りながら行方を追う狼の目に飛び込んできたのは、体から血を流し耳をつかまれ連れて行かれる兎の姿だった。
 逆上した狼がその生き物に飛び掛り、兎は地面に落とされる。
 狼は初めて見た生き物にも関わらず躊躇なく喉元に食らいつく。後ろ足に鋭い痛みを感じるが、決して離さなかった。そんな狼の耳に兎の弱々しい声が届いた。
 その瞬間狼は力を緩めその生き物から離れると兎に駆け寄った。そっと兎を咥えると脚を引きずりながら静かに森の奥へと消えていく。


 狼は他の縄張りを避けながら歩き続け、やっと見つけた小さな洞窟に兎と共に寝転んだ。
 兎は体を一突きにされ出血が止まらない。狼はその兎の傷を何度も舐め続けていた。
 狼も脚を何度も突かれた為、血が流れ後ろ足は動かせなくなっていた。
 弱りきった体で最後の力を振り絞り、兎は狼を見つめ目で訴える。
(私を食べてあなたは生きて――)

 種族が違い言葉は通じないが、二匹の心は通じ合っていた。
 だから兎の言いたい事は伝わっていた。だが狼がその願いを聞き入れることは無かった。
 狼は息を引き取った兎を守るように包み込む。
 自身も空腹と刺し傷で弱っていて動けそうに無い。狼は兎と過ごした日々を思い出しながら静かに目を閉じた。




 一人の男が町外れにある山に登り、崖の上から下町を眺めていた。
 外套をまとい眼鏡をかけた男は、そこで不思議な感覚に陥る。それが何か分からず暫くその場に立ち尽くしていた。  
 すると人の近付いてくる気配を感じ、慌てて木の影に隠れた。

 様子をうかがっていると、一人の少女が元気に山を登ってきた。髪を兎耳のように結い上げたその姿に、男は兎みたいだなと思い眺める。
 少女は崖まで来るとキョロキョロと辺りを見回し、突然その場に伏せると崖下を覗き込んだ。
(あんな所で何をする気だ?)
 男は驚き外套を頭から被ると静かに近付く。よく見ると少女は崖下に手を伸ばしているようだった。

「そこになにかあるの?」
「っ!?」

 男が声を掛けると、少女は驚いた表情で振り返り慌てて立ち上がった。羞恥から真っ赤に染まった顔を隠すように下を向き衣の埃をはらう。

「ひ、人がいると思わなくて」

 少女は恐る恐る顔を上げると、外套と眼鏡で隠されているが整った顔立ちの綺麗な男が立っていた。
 初めて見る綺麗な男に少女は見とれてしまう。黙って自分に視線を向ける少女に男は再度問いかけた。

「そこに何かあるの?」
「あ、えっと。ここの崖に花が咲いてて、母さんが好きだった花だから……」

 そう言って崖に視線を向ける少女に、男は何か惹かれるものを感じた。

「僕が取ってあげるよ」
「えっ! 綺麗な衣装が汚れてしまいます。自分で何とかしますので大丈夫ですからっ」

 止める少女に大丈夫だからと制止を振り切り、崖を覗くと斜面に沢山の花が咲き乱れている。男は手を伸ばしいくらかその花を摘み手渡した。

「ありがとうございます……これで母さんが好きだった花をお墓にお供えできるわ」
「お母さん亡くなってるんだ。僕の母も厳しい環境に馴染めなくて亡くなってるから一緒だね」

 嬉しそうだけど、どこか寂しそうな少女の顔を見て男は明るく告げた。

「じゃあこの花半分あなたのお母さんにあげてください」
「どうして?」

 すると返ってきた答えに男は戸惑い、不思議そうに聞き返す。
 少女は笑顔で説明を始めた。

「この花はこんな崖で風が強い日は柔軟に風に身を任せ、逞しく上を向いているから。だからあなたのお母さんにも次生まれ変わったときには、柔軟に逞しく生きていけますようにって」

 だから葉っぱも食べられてお得なこの花が母さんは好きだった。と続ける少女に男は瞠目する。

「あ、ごめんなさい。よく知りもしないのに人のお母さんの事を弱い人みたいに……」

 男はこういう真っ直ぐな子なら、母のようにならなかったのだろうかと考えた。だがこの子はあそこには似つかわしくないかと思い直す。
 すると何も言わない男に、少女は気を悪くさせたかと思い謝った。
 

「いや、大丈夫だよ。その通りだからね。じゃあ厚意に甘えて半分もらっていくね」
「こちらこそありがとうございました! 花を摘んでもらって助かりました」

 お互いにお礼を言い合い、空に目を向けると少し日が落ちかけ茜色に染まり始めていた。
 空気も冷え始め、冷たい風が二人の間を吹き抜ける。

「そろそろ戻らないとね」
「はい」

 二人は手を振り合うと、背を向け互いの居場所に帰る。歩きかけた男は名残惜しそうに振り返り、少女の背を見つめた。

「今までいなかったタイプなのに、何処か懐かしい感じがしたのは何だったんだろうな」

 一人呟くとしっかりと外套を被りなおし歩き出す。



 それから一年の月日が流れ、少女は元気に王宮のバイトへ向かった。

「この一ヶ月間、後宮でお務め頂きたいのですよ。汀 夕鈴殿」

 李順の言葉に声も出せず、ただ目の前で拱手しブルブルと震えている少女。
(あの時の少女がまさか臨時花嫁としてくるとはな。楽しくなりそうだ)
 陛下はふっと表情を和らげた。


「李順、夕鈴があの時の少女だよ。こんな偶然ってあるんだね」
「勝手に抜け出して帰ってきたと思ったら花を持って帰った時のあの例の兎ですか? 彼女の方は覚えていないようですが、そればれないで下さいよ」

 李順が夕鈴を下がらせた後、一年前を思い出しながら陛下は李順と話していた。ふと外に気配を感じ、覗くとそこには夕鈴が驚きの表情を浮かべ立っていた。

「ごめーん李順。ばれちゃった」
「ばれちゃったじゃありませんよ!」

 頭を抱える側近の横で陛下はニコニコし、夕鈴は一年前を思い出す。
 先ほどの狼陛下との違いに驚くが、目の前にいるのは紛れもなくあの人だった。
 臨時花嫁として一緒に過ごすうちに、陛下の苦悩が見えた気がした夕鈴は陛下に告げる。
 
「花嫁は狼陛下の味方ですよ」

  前世から赤い糸で結ばれた二人の物語が再び始まる――



 おわり
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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