あの日の君は 後編
こんばんは~ (*´-`*)
また遅くなりましたがとりあえずアップに来ました!
とりあえず前中後編で終わらせるために、途中結構飛ばしてしまいました。

また後日番外編でもう少し書きたいなと思ってます。

でもその前にリクを書きますので、遅くなると思います(^_^;)


設定

現代パラレルって書いてたけどこれってファンタジーってやつ?って最近思いました(^_^;)

夕 (くノ一)
黎翔 (白陽 社長)
李順 (秘書)
浩大 (ボディーガード)
克右(ボディーガード)
張元 (珀家相談役)
氾 史晴 (黒優 社長)
紅珠 (史晴の自慢の娘)
顎 (ボディーガード)

 暑さも和らぎ、幾分か過ごしやすくなってきた九月後半。秋の涼風が隙間を縫うように吹き抜け、道行くサラリーマンも夏とは違い表情が和らいでいた。
 そんな中ビルの一室では黎翔が難しい顔で書類に目を通しており、時に視線を外に向けぼんやりする。近くで仕事をしている李順は何事かと様子を窺っていると、視線に気付いた黎翔が渋面を向けた。

「なんだ?」
「いえ、社長の手が止まっているようでしたので。少し休憩を取られますか?」
「いやいい」

 それだけ言うと黎翔は再び書類に視線を落とす。李順はそれ以上聞くのは諦め仕事を再開する。
 暫くするとノックの音が聞こえ、許可をすると浩大が入室してきた。

「くノ一ちゃんのおかげで捗ってるよん。やっぱり一人より二人だよな」

 そう言いながら浩大は封筒を机に置き、ソファーに腰を下ろした。黎翔は封筒から書類を取り出し目を通す。そこには前社長の代に傾きかけてきた自社と対照的に、業績を伸ばしてきたライバル社である黒優コーポレーションが今まで行ってきた白陽エンタープライズ社への数々の悪事が記されていた。

「あそこの社長は人の良さそうな顔してすげえ腹黒いよな。うちの社長が変わってからそろそろ潮時と判断したらしく、今度は自慢の娘を嫁がせようと画策してるらしいぜ」
「なるほど……それは楽しくなりそうだ。李順、もう少し夕の教育を頼むことになりそうだ」
「はい、かしこまりました」

 ニヤリと笑う黎翔に李順は嫌な予感がするが、言い出したら聞かない黎翔に口を出すことは諦め承知するしかなかった。
 

後日――
 夕は胸元がV字に大きく開きレースになっていて、深いスリットの入った黒いドレスを身に纏う。仕上げに李順にヘアメイクを施され、セクシー美女へと変身した。

「では教えた通りに挨拶をして、あとは黙っていなさい」
「はい。でも李順さん服はくノ一衣装とあまり変わらないけど、この靴じゃ何も出来ない……」
「今日は社長のお供をするだけです。ただ大人しく社長の横にいるだけでいいんです」

 夕が不満そうに頬を膨らませるのを見て李順はため息をつき、夕に言い聞かせた。

「そんな顔したら折角のメイクが台無しでしょう。いいから黙って社長について行きなさい!」

 夕が諦めたように頷くとノックの音が聞こえ、李順が「どうぞ」と言うと黎翔がドアを開け入室する。夕を見るなりその美しさに感嘆の声を漏らした。

「普段も可愛いが、メイクでここまで美しくなるものなんだな」

 黎翔は夕の手を取り口付けると夕は頬を染め戸惑いの表情を浮かべる。そんな夕に微笑むと腰に手を回しエスコートする。

「では行こうか」

 浩大と克右が待つ車に向かうと、二人は夕を見るなり目を丸くする。黎翔はそんな二人を無視し車に乗せた。


 ホテルに着き会場に入ると、そこはきらびやかな光景が広がっていた。夕は慣れない社交の場に緊張しながらも、教えられた通り黎翔の横でただ微笑む。
 主役の二人は気付けばゲストに囲まれており、挨拶が交わされる。一通り挨拶が終わると夕に視線が集中しており、皆に紹介を求められていた。

「私の婚約者です。美しいでしょう? 本日は婚約披露パーティーでもありますから。夕、皆さんにご挨拶を」
「はい。お初にお目にかかります。黎翔さんと婚約致しました夕と申します。よろしくお願い致します」

 夕はそう言うと綺麗で丁寧なお辞儀をする。皆その優雅な身のこなしと美しさに見入っていた。

「皆夕の美しさに言葉も出ないようだ」

 夕の肩に腕を回し呟くと、はっと我に返ったゲストが賞賛の声を上げる。
 
「李順さん元々あの娘さんの立ち振る舞いの美しさは褒めていたが、指導によってますますそれに磨きがかかったようだな」
「そうだな……ってか見てみろよ黒優の社長。いつもは人の良さそうな笑顔だけど、今は引きつった笑顔浮かべてるぜ」

 挨拶をしようと歩いてきた黒優の社長は、夕の優雅な立ち振る舞いに驚き立ち止まっていた。それを少し離れた所で見守っていた克右と浩大は楽しそうに笑う。
 だが、黒優の社長はそれでは終わらなかった。自慢の娘を連れ、黎翔の傍に歩み寄る。

「珀社長。本日はお招きに預かり光栄です。婚約者さんは本当にお美しいですね」
「こちらこそ、ご多忙の所お越しいただきありがとうございます。黒優コーポレーションさんは業績もよく、さぞかしお忙しいことでしょう氾社長」
「いえ、そんなことはありませんよ。白陽さんに比べたらまだまだです。それより今日は私の自慢の娘を紹介させてください。紅珠、こちらに来なさい」

 氾に呼ばれ一人の美少女が歩み出る。

「お初にお目にかかります紅珠でございます。どうぞお見知りおき下さいませ」

 美少女紅珠の完璧な振る舞いに、周りからは感嘆の声が漏れた。氾社長は得意顔で黎翔を見やると顔は紅珠に向いてはいるが、手は婚約者の腰に回し仲の良さを見せ付けるように寄り添っていた。

「お噂はかねがね伺っております。大層な美少女だとか。確かにお美しいが、私にはこの夕が一番綺麗に見えるもので他に興味は無いのですよ。なので君にはもう会うことも無いと思うが、君のお父さんにはお世話になると思う。今後ともよろしくお願い致します。では挨拶がありますのでこれにて失礼」

 それだけ告げると黎翔は婚約者と仲睦まじく去って行き、それを氾親子はただ呆然と見送ることしか出来なかった。


「あそこまで私に興味を示さない方がいるなんて……お父様、私悔しいですわ」

 別室に移動した紅珠は目に涙を浮かべ父親に訴えていた。

「お前は美しい、これからもっと綺麗になる。珀社長は今はあの女に夢中のようだが、あの女さえいなくなればきっとお前を見てくれるだろう」
「でも今はあの人が……」

 下を向きぽろぽろと涙を流す紅珠を氾は優しく宥める。

「大丈夫だ、私が何とかしよう。それよりお前はもうここには用は無いだろう。車を回させたからこのまま家に帰るなり、ショッピングに行くなり好きなようにするといいよ」
「本当? お父様大好き!」

 途端に泣き止み抱きつく紅珠に、内心ホッとしながら笑顔で見送った。氾は車が完全に見えなくなると身を翻し、先程の部屋へと戻る。途端にいつもの人のいい笑みは消え、冷笑を浮かべ部屋にいた男に話しかける。

「鍔、お前の出番だ」


 黎翔と夕はパーティーの最後の挨拶を終え、お開きとなった会場で来賓の見送りをしていた。
 夕は丁寧にお辞儀をし、顔を上げると少し離れた所に見覚えのある顔を見つける。
(嘘! こんなところにあいつがいるなんて。でも似てるけど何だか感じが違う?)
 その男は壁にもたれかかり、こちらを伺っている様子だったが向きを変え去って行った。

「黎翔さん……ごめんなさい。少し抜けます」
「どうした?」

 どうしてもその男が気になった夕は、黎翔の背後から小声で囁くと返事をする事もなくその場から離れる。足早に男の後を追ったが、見失ってしまいキョロキョロと辺りを見回していると突然背後から引っ張られた。
 夕は瞬時に体勢を立て直すと、後ろ回し蹴りをお見舞いする。だがその脚は空を切り、相手に脚を掴まれた。

「このヒールじゃ当たったらダメージがでかかったな」
「几鍔っ! とは少し違うわね」

 相手に視線を向けると、小さい頃共に修行した几鍔に似た男が夕の脚を掴んでいた。思わず名前を呼ぶが、顔は似ていても雰囲気がまるで違う。
(そうよね。こんなとこにいるはず無いか……でもこの気配はあの時の)
 知り合いに似ていた為に一瞬気が緩んだその瞬間。男は懐からスプレーを取り出し、夕に吹きかけた。

「今は大人しく眠ってもらおうか」
「何……」

 口を開くがグラリと視界が歪み、夕は意識が遠のいていった――


 目が覚めると見知らぬ部屋に転がされていた。体もしっかりとロープで縛られ身動き出来ない。いつもならイヤホンをつけているが、今日はパーティーの為外していた。
(丸腰で動いちゃ駄目ね……勝手に抜け出したし、後で李順さんに怒られるんだろうな)
 夕はこの後の事を考え気が重くなるが、これ以上迷惑を掛けないように抜け出す算段を始める。

「縄抜けは得意なのよね」

 あっという間に縄を解いた夕は部屋を見回す。目に入るのはドア、窓、照明だけだった。
 窓から外を覗くと、周りはビルが立ち並んでいる。だがどれもこのビルより低く、今いるビルがどれほどの高さかを物語っていた。

「窓も開きそうに無いわね」

 窓に視線を向けるとはめ込み式になっていて、開けることは出来ない。気が付くと窓にポツポツと水滴が付き始め、段々と雨は本降りになっていった。
 夕はドアへと移動すると試しにドアノブをまわしてみるが、やはり外から鍵がかけられているようで開かない。夕は頭からピンを一本引き抜き広げると鍵穴に差し込んだ。




「結局くノ一ちゃんは見つからなかったな。本当に過去に戻ったんじゃねーのか」
「ああ。黒優のボディーガードが連れ去った事は分かったが、その後の足取りはそいつと共に不明のままだ。しかしあの後の社長の報復は凄かったな。あれだけ大きくなった黒優を倒産寸前まで追い込んだんだからな」
「まあその間社長の人使いの荒さは尋常じゃなかったけどな」

 浩大はドアの前に立ち、その時の事を思い出し苦笑する。すると克右も同意し、昔に思いを馳せた。

「あの娘さんがいなかったらこの白陽はこんなに早く持ち直せなかったな。だが、娘さんがいなくなってからの社長の荒れようは凄まじかったな」

 あの時の黎翔の冷酷非情さを思い出し、克右は身震いをした。

「そんな時に現れたあの娘のお陰で、再び社長があんな顔で笑えるようになったんだ。どちらの娘さんにも感謝しないとな」
「そうだな。一時はどうなることかと思ったぜ 」

 二人が優しく見守るような視線を向けた先には、幸せそうに笑う黎翔と夕に瓜二つの少女、夕鈴が微笑み合い皆の前で誓いの口付けを交わしていた。

おわり
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

Secret
(非公開コメント受付中)

 


カテゴリ
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示