マッチに願いを込めて
こんにちは(o^^o)

今まと先生のサイン会会場で順番待ちをしています(*^^*)

まだまだ先なので待機中なのですが、この間9月16日に誕生日を迎えられた作品貯蔵庫『兎の山と狼の里(仮)』の江口さんに贈らせて頂きましたお話です。

その日は調べてみると、マッチの日だそうでマッチ売りの少女パロになりました。

公開の許可を頂きましたが、SNSで読んだ記憶がありましたので、こちらにアップさせてもらいます(*^^*)


よろしければどうぞ。





 街では年の瀬を迎え、道行く人々は忙しなく行き来している中、薄い上着を羽織り、一人で寒さに震えながらマッチを売る少女がいました。

「マッチは要りませんか? マッチを買って貰えませんか?」

 今ではマッチを使う家も少なく、忙しさもあり誰も少女に見向きもしません。

「一つも売れないわ……でも、売れないと家族が年を越せないわ」

 少女は早くに母親を亡くし、父親とまだ小さい弟と暮らしていました。父親はギャンブルにハマリ生活は厳しく、年越しのお金を稼ぐために少女はマッチを売りに来ていました。
 多少の心細さはあるものの家族の為と頑張りますが、一つも売れません。途方に暮れた夕鈴はマッチを一本擦り、実演販売を始めました。

「皆さんお忙しいところごめんなさい。でも、少しでいいので見ていってください」

 マッチの火を点けると、その火は七色に輝きます。「これは珍しい」評判は上々でマッチは飛ぶように売れていきました。
 籠の中に残ったマッチは後一つです。
(これで皆で年が越せるわ)

 夕鈴は喜び家路に就こうとすると、籠の中に入った沢山のマッチと燃えカスが目に入りました。マッチが売れず少しだけ寒さを凌ごうと火を着けた後の幻でした。

「今のは夢? 幻? もう一度擦ったら続きが見れるのかしら」

 もう一度マッチを擦ると、家族が笑顔で夕鈴を出迎えてくれました。

「お姉ちゃんおかえり」
「よくやったな夕鈴。これで年が越せるぞ」

 何時もは滅多に家にいない父親も家にいて褒めてもらい、笑顔の夕鈴はふいに視線を感じ振り向きます。するとそこには寂しそうな顔をした、一匹の狼がこちらを見ていました。

「何故狼がここに。二人とも危ないから早く家に入ろう」

 夕鈴は父親に促され家に入ろうとしましたが、狼の寂しそうな目が気になり制止を振り切り狼へと近付きます。あと一歩の所で狼が威嚇を始めましたが、その瞳が寂しそうで……夕鈴は優しく声を掛けながら少しずつ距離を縮めました。
 威嚇しても怯まず寄ってくる夕鈴に、狼は触れる事を許しました。狼に抱きつくと家へと誘います。

「ふふっ狼さん温かい。狼さんも寂しいなら一緒にお家に入ろ?」

 すると狼は見る見るうちに大人の男性の姿になり、夕鈴を抱き上げそのまま連れ去りました。漸く幸せな時間が過ごせると思ったのに家族と引き離され、夕鈴は泣き出します。

「君はずっと私といればいい」
「私は家族と一緒に居たいの」

 涙ながらに訴えると男は寂しそうな目で口を開こうとします。


 そこで目が覚めると、ふかふかのベッドに転がっていました。
(ここはどこかしら)

 夕鈴は戸惑いながら起き上がり辺りを見回すと、見たことも無い豪華な部屋が見えます。すると部屋のドアが開き夢で見た男が入ってきました。

「ああ、まだ起きてはいけない。栄養失調に寒さで倒れていたんだ連れて帰って来てから三日も目を覚まさなかったんだ」

 そう言うと男は夕鈴をベッドに寝かし、優しく頭を撫でながら語りかけます。

「夕鈴はもう何も考えなくてもいいから」
(何で私の名前……)

 夕鈴はその手の気持ちよさに再び深い眠りに落ちていきました。


 次に目を覚ますと、視界に入ったのは心配そうに覗き込む父親と弟の顔でした。

「夕鈴! よかった目が覚めて」
「お姉ちゃんおはよう」

 驚く夕鈴に弟は無邪気に笑い、父親は涙を流しながら謝ります。

「今まで夕鈴にばかり苦労掛けてごめんな。これからは真面目に働くからな」
「父さんどうしたの?」

 父親の泣き顔など滅多に見るものでもなく、夕鈴はまだ夢でも見ているのかと首を傾げます。ドアの開く音が聞こえ、視線を向けると男が部屋に入ってきていました。

「眠り姫は目覚めたかな?」
「夕鈴、お前からもお礼を言いなさい。この方が道で凍死しかけていたお前を拾って助けてくれた命の恩人だ」
「これは夢じゃない?」

 夕鈴はなかなか信じられず自分のほっぺをつまみます。

「痛いって事は現実なのね……ありがとうございます! また家族に会えて幸せです」

 男は三人で抱き合い再会を喜ぶ姿を満足気に眺めると、そっと部屋から出て行きました。

「黎翔様。本当にあの者達をここで面倒見るのですか?」
「決定事項だ」

 男を待っていた眼鏡の秘書がため息混じりに問うと、黎翔は一言だけ告げ一人歩き去っていきます。
 あの日黎翔は腹の探りあいのパーティーに参加した帰りに倒れた夕鈴を見つけました。何時もならそのまま通り過ぎるのに何故か目が離せなくて傍に行くと、夕鈴はうっすらと目を開け手を差し伸べギュッと抱きつき言いました。

「寂しいなら一緒に……」

 黎翔は自分が寂しいなんて感情は無いと思っていました。その時の夕鈴は体は冷え切っていたはずなのに、何故か温かく気付けば家に連れて帰っていました。
 まず医者を呼び治療をさせると夕鈴の身元を調べます。家の状況を知り、行ってみると父親は娘が居なくなり憔悴しきっており改心を約束させると自分の会社で雇うことにしました。

 夕鈴には住み込みでメイドの仕事という名の花嫁修業をさせ、夕鈴が大人になるのを待って嫁に迎えました。

おわり
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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(非公開コメント受付中)

ようやくコメント書きに来れました(*´ω`)!

健気で可愛いですよね夕鈴・・・!!
パパをどうしてやろうかと思うくらい・・・w(゚∀゚)
そしてちゃんと夕鈴の成長を待つ理性強黎翔様ホント大好きーーッ!!

SS、本当にありがとうございます✨( *´艸`)
江口様
コメントありがとうございます*\(^o^)/*

本当にパパ酷くてどうしてやろうかと思いました(*^^*)

こちらこそマッチ売り夕鈴のイラストありがとうございました!可愛いです(((o(*゚▽゚*)o)))
本当に童話を読んでいるかのようなお話で、素敵!
ほっこりしました(*´▽`*)
夕鈴が幸せになれてよかったです。
かざね様
コメントありがとうございます(o^^o)
素敵ありがとうございます嬉しいです!
健気な夕鈴を幸せにしたくてこうなりました〜(*^o^*)
 


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